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映画『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』

1994年、リレハンメル五輪直前のフィギュアスケート全米国内大会で起きた「ナンシー・ケリガン殴打事件」。それに関わったとされるトーニャ・ハーディングの半生を追った映画。


ハーディングといえば、全世界で2番目(1番はもちろん、あの日本人!)、アメリカ人で初めてトリプルアクセルを飛んだ女性としてその名を刻まれている。しかし、あの事件によってスケート界を追放された転落人生。

映画は彼女がスケートを始めた少女時代から始まる。働いたお金を全部つぎ込んでスケートをやらせてくれたものの、粗暴で冷たい母。虐げられて育った彼女は、やがて結婚した相手もDV男という「不幸な」人生。その男がつるんでいるのも悪い仲間たちで、という具合に、スケートのシーン以外は、暴力や暴言だらけのかなりダーティなシーンが続く。

殴打事件そのものは、彼女が直接手を下したわけでも指示したわけではなさそうだけれど、まったく無関係ではなく、そもそもそういう悪い奴らと関わりを持ってしまったことがもう間違いだったのだと思わされる。

フィギュアスケートといえば、今の日本でも「お金のかかる習い事」として知られている。当時のアメリカでももちろんそうで、お金持ちの子供ばかりが集まる世界に、労働者階級で裕福じゃない母子が足を踏み入れてしまったこと自体が不幸の始まりだったようにも見える。

映画では特に、彼女がいかにその世界にふさわしくない人間として不当に扱われるか、強調して描かれている。そのあたり、日本以上に格差や差別の激しいアメリカ社会を象徴してるのかもしれない。

描いているテーマがその辺にあるためか、スケートを扱っているけれど、私が普段チェックしているスケートファンの間でもこの映画の話題はほとんど見かけなかった。

特に今の日本のフィギュアスケート選手って、真央ちゃんとか羽生くんとか、清廉な良い子ちゃんのイメージなので、衣装着たままタバコ吸ってたり、ジャッジに直接文句を言いに行ったり、っていう世界は、異質に感じられる。「ヤンキーとフィギュアという、日本ではありえない融合」って誰かが書いてたのは、言い得て妙。

この事件より少し前、日本では伊藤みどりが活躍していた。彼女も、決して裕福な家の子ではなくて、山田コーチが自宅に引き取って面倒をみたという。彼女の実家はあんなヤンキーじゃなかったかもしれないけど、ハーディングにも、彼女の才能を見出して真摯に面倒をみてくれる大人がいたら、違う道を歩んだのかもね。



2018.09.03 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画など



映画「リメンバーミー」

ロードショーからは周回遅れながら、先日地元のシネコンでピクサーの映画「リメンバーミー」を観てきた。


トイ・ストーリーとか観てないし、アニメにはあまり関心がなかったんだけど、大人の間で評判が良かったようなので。

題材になっているメキシコの「死者の祭り」というのを以前テレビで見て興味があったのもある。昨年母を亡くしたばかりなので、この映画に出てくるという「忘れられた死者はあの世でも行きていけない」という話がひっかかってたのもある。

で、予想以上に良かった。これはアニメだけど完全に大人向けね。テーマは家族の絆。ストーリーは安定のディズニー路線王道という感じで、どんでん返しも驚きはないけど、その分安心して観てられる感じ。巷で言われる号泣はないものの、しんみりはする。

そして、母の死後初めて、母にまた会いたいな。。と思った。

昨年、母の死をしっかりと見届けたはずなのに、「死ぬってどういうこと?」というのが、よけい分らなくなった気がする。不思議。

ところでこの映画、主役のミゲルという少年の吹き替えをやっている子、歌がめっちゃうまくてびっくり。ちょっと調べたら、小学生の頃からカラオケバトル(という番組があるの?)で有名だったらしい(動画はこちら)。13歳というので声変わりが気になるところだけど、まさに天使の声。セリフもうまい。

主要キャストの吹き替えも、藤木直人と松雪泰子だったと知って、またびっくり。全然気が付かなかった。ふたりとも歌をうたうシーンもある。これも上手。

メキシコの「死者の日」については、たとえばこちら。
町中骸骨だらけ!メキシコ死者の日に参加してみた感想と写真とか

日本のお盆みたいなものだけど、もっと陽気なお祭り。街中で仮装したりするらしい。ツアーも出てるみたいなので、一度見に行ってみたいな。

そうそう、併映されてるアナ雪の新作は、つまんなかった。残念。



2018.08.22 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画など



映画『タクシー運転手 約束は海を超えて』

会員になっている地元のシネコンで、『タクシー運転手』という韓国映画を観てきた。


1980年に起きた光州事件を題材にした物語。光州事件とは、クーデターを経て軍事政権下にあった韓国で民主化を求めて市民が蜂起、それを軍が制圧し、多数の犠牲者を出したという事件。

この映画は、この事件を世界に報道したドイツ人ジャーナリストと、そんな事情は知らず、単に大金目当てで彼をソウルから広州まで連れて行き、事件に巻き込まれていったタクシー運転手の、実話を元にした物語だ。

主役の運転手役は、ソン・ガンホ。JSAやシュリなどかつて日本でも大ヒットした作品でも知られる、韓国の国民的な俳優で、この役はまさにはまり役だ。彼の「そのヘンのおじさん」ぽい庶民くささのおかげで、派手なカーチェイスや銃撃戦などが繰り広げられる非現実的なシーンも、観ている人に身近に感じさせる効果がありそう。

久しぶりの韓国映画だったけれど、あ~そういえば韓国映画ってこういう感じだったよねと懐かしく感じながら見た。前半ではコミカルなシーンで笑わせておいて、後半シリアスになる展開。悲惨なシーンをこれでもかこれでもかと描く(幸い、それほどグロいシーンはなかったけれど)。親子の話や、仲間の助け合いなど、「情」が前面に出てくるあたりも。

一時期例の韓流ブーム隆盛の頃見かけた、イケメン俳優ファン向けの作品ではなく、これぞ韓国映画の王道というか。

個人的には、この事件そのものについてもう少し説明して~という感じも。この事件を題材にした作品も数多くあるみたいだし、韓国国内では常識として省かれているのだろうけど。

たぶん天安門事件みたいな感じなのだろうけど、そもそもどんな圧政があって、市民は何を抵抗して、あんなことになったのか。映画では、丸腰の抵抗もしない市民を次々に軍が攻撃するシーンばかりが続き、軍が一方的に悪という設定。ソウルのシーンはいたって平和に描かれているだけに、なんで広州だけ?とも。自分で勉強しろってか(笑)。

ちょっとググったら、このサイトの説明が分かりやすかったよ!
光州事件、地域差別、夜間外出禁止、戒厳令……映画に見る、知られざる韓国現代史『タクシー運転手』

いずれにしろ、見応えのある映画だったと思う。現代史のお勉強にもなったし。

2018.08.01 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画など



「万引き家族」を観てきた

遅ればせながら「万引き家族」を観てきた。カンヌ映画祭でグランプリになったやつね。


シネコンに行ってみると、いつになくすごい人! そうか、夏休みなのねー。この映画は大人向けだから関係なかったけど。

いきなり万引きの現場から始まり、予想通り、暗くて重たい話。でも、ただやるせないだけじゃなくて、いろいろ考えさせられるし、温かいものも残ったりで、さすが受賞作という感じだった。

縁あってひとつ屋根の下に暮らすことになった「家族」。働く気がなくて遊んで暮らそうというわけではないけれど、万引きを繰り返し、底辺の生活を送りながら、肩寄せあって行きていく。「血の繋がりよりも、自分たちの意思でつながってる方が強いんじゃないの」というセリフが印象的。

この映画に対して、「万引きを肯定している」とか「日本人の誤ったイメージを与える」などという批判があるらしい。でも、そういう声が出てくること自体が、この映画の投げかけているテーマを表しているのかもしれない。

この作品は、「日本社会の隅に置き去りになった人々を描いた」とも言われている。

ここで描かれている、児童虐待、年金不正受給、死体遺棄、JK見学店(風俗)、万引き……、どれも、しょっちゅうニュースになっている出来事ばかり。日本のどこかである一定数こういう生活をしている人がいる。でも、多くの「普通の」人たちにとっては、自分たちの身の回りにはそんな人はいない。だから、平気で「日本がそんな国だと思われたら困る」などと言える。まさに「格差社会」と言われる所以ね。

それを、フィクションとはいえ、現実にいる人として見せつけられるのは、気持ちのいいものではない。でも、こういう映画が大きな賞を受賞して話題になるのは大きな意味があると思う。


最後にちょっとネタバレ的感想。
映画では、少年の万引きが捕まったことによって、「家族」の平和は壊れてしまう。少年はこの生活に疑問を感じ始めていたようにも見えるし、そんな生活が永遠に続くわけではないという現実をつきつけたわけだから、決して「肯定」しているわけでもない。でも、少年の意思で次のステップに進ませたことは、何となく希望も感じさせる。

崩壊した家族の一人ひとりが、その後、どんな人生を送るのか。気になる~。

2018.07.25 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画など



映画「ダンガル、きっと強くなる」

昨日から公開になったインド映画「ダンガル、きっと強くなる」を観てきた。


以前観た「きっと、うまくいく」「PK」と同じ人が主演している作品。前2作がとても面白かったので目をつけてたんだけど、ネットの評判もすごくいいようなので、さっそく行ってきた!(「PK」を観たときの日記はこちら)。

今回は、レスリングの元国内チャンピオンのお父さんが、自分の果たせなかった「国際大会の金メダル」の夢を娘に託すというお話。実話を元にしているそうだ。

娘には有無を言わさず過酷なトレーニングを課すなど、いわゆるスポ根なんだけど、ポイントはこれが女の子というところにある。

息子に恵まれなかったために、娘を鍛えることにしたわけだけど、女性差別の激しいインドだけに、家事や育児のための道具としかみなれない女の子が、ひとりの人間として期待されることに大きな意味がある。その思いを受けて、厳しい指導に最初は反発しながらも、周りから何を言われても意に介さない父の強い意思についていく娘。

2時間以上ある長い映画なんだけど、全然退屈しないで見応え充分。父娘の絆も感動的で、後半は涙涙。前2作がコメディタッチな部分もあったのに比べると、ある意味普通の正当派だったのは意外だったけど、起承転結のストーリーはわかりやすくて、ハリウッド映画に負けない名作だと思う。インド映画特有の、突然踊りだすシーンもほとんどないし(笑)。

最近お騒がせの日本の女子レスリングも、父の熱血指導で育った人多いよね。浜口京子とか吉田沙保里とか。彼女たちが観たら絶対泣いちゃうと思う。

インド映画なんて……と思う人も、ぜひ見てみてね!

2018.04.07 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画など



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