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認知症の父との会話

施設に会いに行くたび書いているように、認知症の父とは意味のある会話は成立しない。けど、他の老人を見ていると、「会話風」な言葉のやりとりができるだけ、まだかなりマシ。


最初の頃は、父の意味不明な言葉に対して、いちいち「え?誰が?」「いつの話?」と聞き返していたけれど、ちゃんとした答えは返ってこないので、何のことを言っているのかさっぱり分からなくても、「へ~」「そうなんだ」とか、適当に相槌をうつようになった。

困ってしまうのは、何かを聞かれてるとき。「あれは行ったのか?」「あの人は何してる?」などなど。Yes No クエスチョンなら、これまた適当に「うん」とか「ううん」とか答えるけど、それでは答えにならないときはどうするか?

最近たどり着いたのは、「関係ないこと」で返す!

明らかに父が聞いてるのと違うとは分かっていても、あえて話を続ける。たとえば、「あの人は何してる?」だったら、勝手に娘(孫)の話にして「最近山に行くのが好きらしいよ」とか。幸いなことに、全然関係なくても、たいていは「おお、そうか」と納得してくれる(笑)。作り話にしちゃうこともある。

本当は、父自身も言語化できないだけで、何か聞きたいことがあるんだと思う。それを分かってあげられればいいんだけど、それができないなら、追加の質問をして、答えられずに「さあ、誰だったかなぁ」と「分からない自分」に悲しそうな父を見るよりは、インチキでも会話風になってるほうが、父にとっては気分がいいんじゃないか、と勝手に判断してる。

意味のある「情報」なんてなくても、言葉のキャッチボールで「誰かとその場を共有してる」感覚を持ってもらえればいいかなと。

直接お世話をしなくてはいけないスタッフは、言葉が通じなくて困ることもあるんだろうけど、気の向いたときに行くだけの私は別に困らないしね。

父にしてみれば、相手が私であれ、スタッフであれ、もっとわけのわからいUさんやSさんなど施設の老人たちであれ、返ってくる言葉に意味があるかないか分からないという意味では、同じなのかもしれない。

そもそも特徴的な父の反応として、軽く「そうそう」と答えるときは、分かってないときというのがある。認知症の人によくある「取り繕い」ってやつね。分かってないことを隠そうとして分かったふりをする。本当に分かってるときはそれらしい言葉が返ってくるし、逆に「分からないなぁ」と答えるときは、「分からないということ」が分かってるとき。よく分からないけど分かりそうな気がしているときは質問をしてくる。

それに対して、すごく軽く「そうそう」と答えるときは、そもそもこちらが言ってることが頭に入ってないんだね。「何か言ってる」からとりあえず「そうそう」と答えてる感じ。

いずれにしろ、外からは伺いしれない父の頭の中。去年の今頃はどんなだったかなぁと1年前の日記を読み返したら、こんな本を読んだのを思い出した。


詳しくはその時の日記に書いてるけど、珍しく認知症本人からの視点で書かれた小説。もちろん作者自身が認知症なわけではないので、医師として外から見た認知症患者を一人称で描写したものなんだけど、すごくリアルだった記憶。

AIとかが発達すると、本人が自覚してなくても頭の中を客観的に可視化しちゃえるようになったりするのかしら。便利なような、怖いような。。

2018.10.11 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 介護



おじいちゃん日記1010

施設のエントランス受付に、久しぶりに施設長がいた。「こんにちは~」と声をかけると、「あ、○○さん見て思い出した! 成田のホテル予約するの忘れてた!」と。私といえば海外旅行!というわけで、思い出したんだそうな(苦笑)。


なんでも、ベトナムに研修か何かの視察に行くという。ひときわ人材不足の介護施設、外国人労働者が期待されているとは聞くけれど、まさにその手の話らしい。実際、ここでも最近行く度に新しい人を見かける。今までいた人がやめちゃったのかな?と気になってるけど、真相は不明。今度聞いてみよう。

そういえば、ちょっと前に、タウンワーク掲載用に、父が写ってる写真を使っていいかと聞かれたのだった。もちろんOKと答えてすっかり忘れたけど、検索してみたら、お茶碗拭いてお手伝いしてる姿が写ってた(笑)。(→こちら

今は募集終了って出てるから、これで募集した人が今来てるってことなのね。

ところで、今日の父はゴキゲンななめ。
私が行ったとき、リビングで例の奇声を発するUさんに説教をしているところだった。今日はUさん落ち着かない日らしい。スタッフ曰く「今日は、なんかダメなんですよー」と目で合図。

ちょうどお昼時で、私用に肉まん、父用にはあんまんを買って持っていた。「おとうさーん!」と声をかけても、私が来たのが分かってるのか分かってないのかの父を無理やり座らせて、あんまんを食べさせる。「ああ、ありがとう」とは言ううもののニコリともせず、もぐもぐ食べる父。食べ物で紛らせられるかと思ったけど、見事に失敗。子供とは違うのね。食べながらも厳しい顔をしたまま、ブツブツ怒ってる。

そのとき、父と私とテーブルを挟んで、UさんとSさんが座っていた。「あら、おいしそうねー」というので、そんなこともあるかと持参した鈴カステラをスタッフに渡して、二人にも食べてもらう。

そもそも、いつも「飯を食べずに帰るのか」とさみしげな父なので、あえてお昼時に食べるものを買っていっていっしょに食べようという作戦だった。でも、きっと周りの人もほしいだろうし、でもその場に何人いるかわからないし、、、、と悩んだ結果、袋にたくさん入ってる鈴カステラを買っておいたのは正解だった!

でも、食べた後も不機嫌で気もそぞろな父。なんとか気をそらせようと、そばにあった新聞を見せて「輪島が死んじゃったんだって」と話題を振ってみる。輪島は石川県出身で、父にとっては同郷。「え?」と関心を示した風だったけど、「おお、そうか」といっただけで、あまり分からなかったみたいだ。そして、またUさんへの文句が続く。

スタッフがUさんを洗面所につれていくと、うがいをしながら大声を出している。「なんだ、あのバカモノは!」と怒る父に、「喉が痛くて苦しいんだよ、かわいそうね」というと、「ふん、どうだかな」とバカにしたように笑う。しかも、「ざまあみろ」なんて言ってるし。この前「神」と言われた温厚な姿はいずこへ。(まあ、これが素なんだけど)

その後Uさんの奇声がもっと激しくなり、さらに不穏な空気になってきたので、「ねえ、お父さんのお部屋見せて!」と父を自室に誘う。

部屋に入った後も、外から聞こえる声が気になって仕方がないようす。難しい顔をして「二人をそのままにしておくのは」「ひとつ問題なのは」「あんたは何も聞いてないか」など、訳わからないのはいつものことながら、明らかに話題が違う感じ。仕事モードになってるのか、何か今の状況をなんとかしなければと、自分が指図してあげなければ、とか思ってるのか。

しばらくして、Uさんがお風呂にでも連れて行かれたのか、静かになった。するとだんだんと父も穏やかになり、訳わからないながらも、いつもな感じの普通な会話になった。あ~よかった。

苛立っていたときの父は、入所したばかりの頃とよく似た感じ。落ち着かない状況だと余計混乱してしまうのね、きっと。

この手のケースはしょっちゅうあるようだから、毎日が穏やかに過ごせてるというわけではないみたいだけど、まあ、これも日常ということで。

そうそう、今日うれしかったのは、いつも居眠りしてるかひとりで悪態ついてるかのSさん(女性)に、こんにちはって声をかけたら、すごく素敵な笑顔でにっこりしてくれたこと。この人もこんな表情するんだ~ってちょっとほっこり。どんな人でも笑顔が一番ね。

2018.10.10 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 介護



おじいちゃん日記1004

今日も午後早めの時間に来訪。というのは、少し理由があって、夕方に行くと「夕飯を食べていけ」と何度も言われて、それを断ると悲しそうな顔をするから。この時間帯だとあまりその話題になりにくいことがわかったので。


今日はリビングにいたけれど、お昼寝の時間帯で他の人が少なかったこともあり、能弁にいろいろ話をしていた。相変わらず「あの人」「あそこで」「あのとき」など代名詞ばかりでよくわかんないながらも、今日の話題は、だいたい子供の頃の両親や話。父親や母親が、「とてもかわいがってくれた」という話と、「厳しかった」という話を行ったり来たり。どっちやねん(笑)。きっと、両方なのね。

びっくりしたのは、「羽咋の中学には、お前もいっしょに行ったよな」って、なんで私がお父さんといっしょに中学に通うんじゃー。いつもは適当に受け流してるけど、さすがに「そんなわけないでしょう!」ってリアクションしちゃったよ。

でも、概ね「良い思い出」らしく(高齢者は、過去のいい思い出だけをよく覚えているという)、「まあ、私は幸せだったと思いますよ」(なぜか「ですます」)と繰り返していた。

よくわからないけど、長い人生、戦前生まれだし、辛い事いこともたくさんあっただろうと思うのに、口から出てくるのが良い思い出というのは、それだけで幸せなことだ。そして、それは、たぶん、今の状態に満足しているからだと思うのだ。毎日スタッフに良くしてもらっていて不満がない、という状態だから、そう思えるのではないかと。(そういうことにして、私が安心したいのかも、だけど)。

今日も先日から入った新しいスタッフに、「Nさんには本当にいつもお世話になってるんです」「感謝してます」と何度も言われて。おそらく、まだ不慣れなところを、父が丁寧にありがたがってニコニコしているからなのかなと思う。「スタッフのUさんとふたりで、ほんとNさんって神だよね!って言ってるんですよ」と(笑)。そう言われても意味分からず、「いやいや私は子供の頃~」とトンチンカンな話を始める父だけど、まあ、褒められていることは伝わってるのかなと思う。

一方で、午前中は、また別の利用者が騒いでるのをずっと説教していて、「あまり言ったら可愛そうだから」と仲裁に入ったスタッフに八つ当たりして、、、なんて、相変わらずなこともあったようだけど。

今日は、いつもほとんど座ったまま寝ているSさんが、珍しく覚醒していて、ずっと何か独り言を言っていた。意味不明な中にも「帰るところなんてないの!」「どこって聞いても、後でっていうばっかりで」とかブツブツ言っては、ときおり涙をぬぐっている。見ていて、なんだかこっちまで悲しくなってくる。

でも、スタッフが寄り添って、「なにかしたいことない?」「行きたいところない?」などと優しい声をかけてあげていると、少し笑顔も見えたりして。気持ちは伝わるのかな。

そんな独り言に絶妙な相槌を打ちながら、「その娘婿というのが私の知り合いで」などと意味不明な話で対応する父。何か言ってあげたい気持ちはあるのかな。本人には伝わらないだろうけど(笑)。

そういえば、この前も別のおばあさんが、アレコレしゃべりながら「でも、わたくし、頭がこんな風になっちゃったでしょ」なんて言ってたし、みんな、分からないようだけど、今の状況をそれなりに分かっていて、悲しくなっちゃうときもあるみたいだ。

ところで、先日いた若い新入りスタッフは、やっぱりダメだったらしい。その他も何人か若い子が入ってきてはやめて、、の繰り返しらしい。やっぱり、大変な仕事だもの、人生経験のない若い人には、むずかしいよねぇ。。良い人が見つかりますように。

2018.10.04 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 介護



おじいちゃん日記0918と、健康診断の結果

午後2時頃、父の施設へ。例によって、ランチが終わって静かな時間。父はなんか少し疲れた様子だ。「どうしたの?」と聞くと、「まあ、いろんなことがある」とか、「身内同士なんたら??」とか、よくわからないことをブツブツ言ってる。


スタッフの話だと「やっと静かになったけど、午前中はいろいろ大変だった」と。どうやら、またおばあさまのゴキゲンが悪くて何やら荒れてたみたいだ。父もまたそれに釣られて一悶着あったのかどうか、そこまで聞かなかったけど、父の疲れた顔もそのせいなのかもしれない。詳しくは聞かなかったけど。

「今年は田舎の取引が多かったらしい」とは、お米の収穫が良かったといいたいのか? 「今年は兄貴もだいぶがんばったんじゃないか」とな。今日はその話を何度もしてた。珍しく「子どもたちはどうしてる?」というのも、何度も聞かれた。「3人だったか?」 あれれ。惜しいな。

上半身下着姿だったのは、便で汚れてしまったから、、とのこと。なぜ上半身? 「今日はいじる日みたいで」というから、手についたブツをなすりつけちゃったのか。もうすぐお風呂なので、そのまんまですみませんとな。

その足で、帰りに健康診断の結果を聞きに行った。

モロモロの数値は、例年とほとんど変わらず。γーGTPと、悪玉コレステロールがちょっと高め。でも、ここ数年の中ではまあいい方だし、先生も「急に数字が変化してなければ心配はいりません」と。

胃カメラの結果は当日も聞いてたけど、「逆流性食道炎」と「バレット食道」「多発性ポリープ」で経過観察。こちらも気になるようなら一度超音波でも診てもらうといいけど、とりあえず心配はないそうだ。

ついでに聞いた注意事項としては、逆流性食道炎の人は、食後すぐに横にならない方がいいそうだ。胃酸が逆流しないように「タテ」にしておいたほうがいいっていうことらしい。「食べてすぐ寝ると牛になる」っていうしと思ったけど、先生若くて、そんなの知らないかもしれないから、黙ってた(笑)。

バレット食道っていうのは初めて聞いたけど、帰宅後見たら、以前の健診でも書いてあった。調べてみると、逆流性食道炎のせいで食道の終わりのところが異型化するみたいな話らしい。

まあ、どれも特に心配することはなさそうなので、一安心。よかった、よかった。

2018.09.18 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 介護



おじいちゃん日記0911

先日行ったときにスタッフから頼まれていた、室内履き(失禁しちゃったときの洗い替え)と、ワセリン(お風呂上がりに塗る)を持って施設へ。


靴は、施設に入ったばかりの頃に買ったのと同じものの色違いをチョイス。夏の間蒸れるかなぁと心配していたけど、大丈夫だったようなので。


前回と同じく14時頃に行ったので、ほとんどの人はお昼寝タイムで、起きていたのは父ともうひとりの女性のみ。そのおばあさんも、ほとんど昼寝しないらしい。

私が行ったときは、今月入ったばかりの新しいスタッフがひとりだけ。「どんな風におもてなししたらいいかわからなくてすみません」ってコーヒーを入れてくれて、恐縮。お構いしてくださらなくて大丈夫なのに(笑)。

間もなく、顔見知りのスタッフも戻ってきて、父に足湯をしてくれた。足湯だというのに、ベルトをはずしてズボンを脱ごうとして止められる父(笑)。しばらく足をつけた後、小さなブラシを持ってきて指の間や爪の先なども丁寧に洗ってくれる。マッサージもしてくれて、むくんでいた足もみるみる血行が良くなって、気持ちよさそう。

IMG_9600.jpg 

「お父さん、まるでお殿様みたいだね、良かったねぇ」というと、「ありがとうございます、すみません」と仕切りに感謝の言葉を述べる。

もうひとりの女性がしばらくトイレに入っていたこともあり、10分ぐらいスタッフ二人がかりで父のお世話。ふたりとも声を揃えて「○○さんは本当に優しいから」「紳士だし」「いつも良くしてもらってます」「イケメンだし、背も高いし、今でいう三高ですよね!」と、褒め殺し。

「いやいや、今はこんな仏さまみたいに温和な顔してるけど、昔はいつもおっかない顔をしてましたから」というと、「えー、信じられない」など、話しているのを聞いては父も嬉しそうにニコニコしている。内容はわからなくても、好意的な感じは伝わってると思う。

今日は久しぶりに、「お母さんはどこにいる?」と聞かれた。一瞬迷ったけど、「えっと、病院?」と答えると、「何の病院だったっかな」と突っ込んでくる。困ったなぁと思っていると、ちょうどそこに現れたスタッフに話しかけられたので、その話はそこで終わり。その後は何も聞かれなくてほっと一安心。

「お父さん、もうすぐお誕生日が来たら90歳だよ」というと、「そんなになるのか。思ってもみなかったなぁ」と言いつつ、しばらくすると、「うちの親父ももうすぐ80か」とつぶやいてずっこける(笑)。 そもそも、私が3歳のときに亡くなった父の「親父」は、確か72歳とかで亡くなってるはず。まあ、もう70も80も90もわかんないんだろうけど。

そんな感じで相変わらず謎発言が多いけど、いろいろ話をつなぎ合わせると、「近くなったから、こうやってしょっちゅう会える」みたいなことを言っていたので、私の近くの施設に入ったのだということは、漠然とはわかってるのかなという感じ。何よりも「しょっちゅう会える」と思ってくれてるだけでも、私としては嬉しい。

最近、父のところに行くのが苦痛じゃなくなってるのは、もちろん近くて楽なことが一番だけど、父が喜んでくれているという実感があって、行く度に私も「いいことをしてる気分」が味わえるからかなと思う。そんな風に思わせてもらえることに、こちらから感謝したい気分だ。

加えて、特に話すことがなくても(話の内容はどうせ覚えてないし)、顔を見せるだけで、父が安心するんだろうと思うから、以前のように「話が続かなくて手持ち無沙汰」って感じなくなったのもある。ただぼーっと横にいるだけでも十分ミッションクリア、みたいな。

身の回りのお世話はいろいろな人にしてもらえても、顔を見るだけで喜んでもらえるのは、娘にしかできないことだからね。

2018.09.11 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 介護



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