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読書録:『君たちはどう生きるか』


オリジナル版が出たのは戦前なのに、2017年に漫画版と新装版が出て一大ブームになった本。前から気にはなっていたけど、やっと今頃読んでみた。

東大哲学科卒の吉野源三郎氏が書いた少年向けの哲学本だ。ずっと昔に「一番やさしい哲学の本」としてベストセラーになった『ソフィーの世界』みたいな感じ?

『ソフィーの世界』は翻訳本で、さらにいろんな哲学者の名前が出てきたのに比べて、こちらは日本人が書いたものだし、特定の哲学者をとりあげるのではなくごく普通の少年たちの物語として描いてるので、かなりなじみやすい内容になっている。

主人公は中学生のコペル君。友だちと過ごす日常の中で体験するさまざまな思いを、亡き父の弟であるおじさん(割と年齢は近い設定)にぶつける。そのおじさんが、いわばメンターとなり、コペル君は精神的に成長していくためのヒントを見つける、みたいな話。

日本の話とはいえ、戦前のこと。なのに、そこで出てくるいじめとか貧困とか友情とか、今も変わらない問題ばかり。というところが、80年以上昔の本がロングセラーとなった所以らしい。

ところで、この新装版の「まえがき」にも名前を連ねている池上彰氏が、テレビでもこの本の解説をしたという情報を見つけた。

池上彰が解く「君たちはどう生きるか」の真髄

子供時代にもこの本を読んだという池上氏がナビゲートするこの番組では、物語の内容を映像化して紹介したということで、コペル君役は、「こども店長」で人気者となった加藤清史郎くんが演じいたらしい。

最近見かけないけど、向井理バリのイケメンになっているという噂。ちょっと見たかったかな(笑)。

2019.10.16 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



読書録:『家族終了』


ベストセラーとなった『負け犬の遠吠え』など、ジェンダー本で人気の酒井順子氏のエッセイ。

「30代・未婚・子ナシ」女性を「負け犬」と称して一斉を風靡してから16年。両親と兄がこの世を去り、結婚せず子どももいない彼女は「家族」のいない身となった。それを「家族終了」と彼女は感じた。

「創造家族」を作らぬまま「生育家族」を失った今、自分の生い立ちや自分の家族の姿を振り返りつつ、世の中の家族感の変化、そして今後の家族のあり方についての彼女なりの意見を書いている。

自由主義が浸透し、集団としての結束を重んじる従来の家族感が崩れつつあるなかで、将来的には結婚と生殖を切り離して考えたほうがいいのではないかとまで言っている。

私自身も人間関係にはかなりドライな方だと思うけれど、さすがにそこまではなかなか割り切れないかなぁ。彼女は、結婚せず子どもを生み育ててないだけでなく、父のときは「母任せ」で、残った母も突然逝ってしまったため、親を介護した経験もない。そんな人生も大きく影響してるんだろうと思う。

「~なのではあるまいか」「~なのであります」「~ということなのでしょう」などという独特の言い回しが続くのはちょっと鼻についたけど、内容は安定の酒井順子的な?

中年後期にさしかかった「負け犬」の心境という意味では興味深いと思うし、20年、30年後には「負け犬の老後」についても書いてほしいと思う。あ、その辺は上野千鶴子センセイあたりがすでに書いてるか(笑)。でも、世代が違うとまた見方もいろいろ違うかもね。




2019.10.06 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



読書録:『日本人が知るべき東アジアの地政学』


駿台の世界史講師が、世界史をベースにして現代を読み解くシリーズ。前にも『ニュースの”なぜ?”は世界史に学べ』(読書録はこちら)、『経済は世界史から学べ!』(読書録はこちら)の2冊を読んだことがある。

前回読んだ2冊に比べると、一番中身がぎっしりな印象。一般向けに噛み砕いて書かれてはいるものの、興味をもって真剣に読まないと咀嚼できないというか。その分、読み応えたっぷりだ。2019年5月発売の本なので、ブレグジットや米朝会談など最新事情も織り込まれている(香港のデモ関連までは触れられていないのが残念)。

サブタイトルは「2025年に韓国はなくなっている」とあるように、メインは朝鮮半島情勢について。最近の韓国をめぐるいろいろで、「意味わかんない」「何考えてるの?」と思っている日本人が多いであろうというところから始まり、朝鮮半島の地理的条件そしてそれ故に歩んできた歴史、そしてそこで培われた国民性について、一番詳しくページが割かれている。その辺の事情は、以前韓国の時代劇を観た経験からも納得できるものが多かった。

いい、悪いとは関係なく、日本と韓国では置かれた立場がまったく違うのであって、そのために常識や価値観も違うのは、ごく当たり前のことなのだと。

その上で、遠からず朝鮮半島は統一するだろうと予想している。現実的には信じがたい気もするけれど、私も個人的には案外ありそうな話だと思っている。

その朝鮮の統一という前提のもと、中国、台湾、ロシア、アメリカそれぞれの事情に個別に触れながら、今後の展開を予想し、そこで日本がとるべき戦略について筆者の意見が述べられている。

そこでキーとなるのが、著者が他の本でも繰り返し述べている「地政学」だ。著者によると、中国、ロシアはランドパワーの国(大陸国家)であり、日本やイギリスはシーパワーの国(海洋国家)。ランドパワーの国が海洋進出したり、シーパワーの国が大陸に進出すると失敗すると。

だから、今盛んに海洋進出を図る中国はいずれ衰退して、解体してしまうというのが、著者の希望的観測のようだ。「おわりに」の部分には「この本を嫌韓本や反中本とはしたくなかった」と述べられており、努めて中立的に書こうとはしているようだけれど、特に中国に対してはかなり否定的な見方が強いようにも感じた。(「韓国と中国に厳しいかも」とは本人も書いているけれど。)

結論として、中国の進出をおさえるために、ロシアと2島返還で北方領土問題を解決して手を結び、日米露の包囲網をつくれとも述べている。そして、国連は日本を守ってはくれないのだから、憲法を改正して、さらに非核三原則も撤廃しろいうのは、さすがに、うーんと思ってしまうけれど。

歴史や国際情勢というのは、見る立場によって見え方がまったく違ってしまうもの。だから、この人の言うことが正しいとは限らないし、今後の展望も単なる予想にすぎない。仮に「多くのデータからありそうなこと」であったとしても、どこかで起きた突発的な事情で何がどう変わるもわからないし。

だから、「今後どうするべきか」の部分はさておき、各国の地政学的な事情という基本的な部分は知っておいて損はないと思う。いろいろなニュースをみるたびに、あ~なるほどと思うことがありそうだ。

2019.10.05 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



読書録:『一度死んだ僕の、車いす世界一周』

 


著者は1988年生まれの男性。18歳のときにバイクの事故で車いす生活になった。一度は絶望したものの、リハビリ施設で出会った人生の「師匠」の影響で、「絶対ムリ」と思っていたことも、やってみればできちゃうじゃん!ということで自信をつけ、ついには、たったひとりで世界一周旅行に出てしまったというお話。

事故直後は一生ベッドで寝たきりと言われたのが、リハビリのおかげで少しずつできることが増える。ひとりで電車に乗り、上京してひとり暮らしを始めた。引きこもりの生活も、車いすバスケットを始めて出会った人の紹介で在宅勤務の仕事を始め、その後通勤するサラリーマンになった。ひとりでハワイにでかけ、車いすでも旅は楽しめると知る。やがて会社をやめ、ロスやオーストラリアにワーキングホリデーも体験。28歳でついに単身世界一周に旅立つ。

事故から出発までの間だけでも、細かく描いたら一冊の本になりそうだけれど、そこはサラッと31ページで終わらせて(笑)。本の大半は実際にでかけた世界一周の旅の様子に割かれている。そう、ちょうど私が世界一周に行ったときに色々読んだ健常者の体験本と同じように、実用的な情報と、そこで体験したトラブル、すばらしい出会いと。

単純に旅行好きとして読んでも面白かったし、そこに車いすならではの他人とのエピソードが加わるので、読み応えたっぷりだ。

体調が悪くなって急遽一時帰国したり、詐欺にあったり、お尻に褥瘡ができちゃったりと、悲惨な体験も多い。それでも、いろいろな人に助けられて。

この本を出した目的は、同じような人に車いすでも楽しめるということを伝えたかったこと。だから、きっと同じような人の役に立つはずであろう、車いすユーザーならではのリアルな情報もきめ細かい。

タイトルにもあるように、一度は死んだも同然の人生だからこそ、やりたいことをやって悔いのないように生きる。それは、イースター島で出会った「運命の彼女」が残してくれたメッセージでもある。(このエピソードも、すごく深い)

サブタイトルの「No Rain No Rainbow. 」とはハワイに伝わる言葉らしい。雨は憂鬱だけど、それがあるからこそ美しい虹が見える。旅の途中で体験した辛い事があったから、助けてくれた人とのすばらしい出会いがあった。そういう意味では、バイク事故さえも「僕には必要な雨だった」のだと。

とにかく読後感がさわやか。押し付けがましいところも、お涙頂戴なところもなく。アマゾンレビューには「ぜひ映画化して!」なんて意見もあって賛成だけど、世界一周はロケ地が多すぎて、予算オーバーで企画が通らないかもね~(笑)。

2019.09.27 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



読書録:『おしゃれ嫌い 私たちがユニクロを選ぶ本当の理由』

 


日経新聞で紹介されていた記事を見て興味を持ち、読んでみた本。なんで読もうと思ったか覚えてない本が多い中で、珍しくよく覚えてるのは、ユニクロ人気の理由は安いだけでなく、おしゃれに疲れた人の心を掴んだからというメッセージに、なるほど!と思ったから。

著者は文化社会学科の教授という1970年生まれの女性。学者なので、過去から今に至る女性誌の見出しなどを列挙して解説する流れは、女性誌に見るファッション史という感じ。一般向けなので、全然堅苦しい文章じゃないけどね。おしゃれについての時代の変化を取り上げながら、今の時代の空気をよく掴んだのがユニクロだったとしている。

この本によると、ユニクロの理念は、服は部品であり、ユニクロはライフウェアとしての服を売る。すなわち「服」ではなく「くらし」を売っているのだという。個性的なオシャレを競いあった時代は終わり、「ていねいなくらし」が憧れとなる今、ユニクロが支持されているのだという。

まあそうかなと思うけれど、正直思ったより本自体は面白くなかった。というか、私が思っていたのとちょっと違っていた。

私が思うに、ユニクロの魅力はやはりまず安いこと。だから気軽に買えるだけでなく、値段の割に縫製などの品質はよく、普段着として来られる回数を考えてもとにかくコスパが高いこと。それは常々感じていた。

加えてこの「おしゃれ嫌い」という言葉で共感したのは、世の中の人みんなが、そこまでおしゃれをしたいわけじゃないということ。「人と同じ格好をしたくない」とか「服で自分を表現したい」「服を買う事自体がとても楽しい」という人も、もちろん一定数いるだろう。

一方で、国民全体を見れば服を買うことが面倒くさいと考えてる人も結構いると思う。特に男の人なんかは。コーディネートとか考えるのもかったるいし、お店で店員さんに声をかけられるのもうっとおしい人にとって、とりあえずユニクロで日用品を買うように気楽に手にとって、勝手に試着してサイズ確かめて買えるのはすごく魅力的なことだと思う。

女の人だって、おしゃれしたいときは他のお店で買うかもしれないけど、普段着とかは適当でいいし→ユニクロで良くない?って感じ。ヒートテックとか下着から靴下からアウター、ちょっとした運動着まで、なんでも揃っちゃうし。サイズも豊富だしね。

そういう傾向が、バブルなんかの頃よりははるかに増えているんだと思う。あとは若い人の節約志向
とか、実際格差が進んで服にお金かけられない人とか、携帯にお金かかるからおしゃれの比重が下がるとか。ブランドもの着てること自体をうらやましく思わないとか。

本にもあるように、毎年同じものを出しているように見えて、実は細かなブラッシュアップをしてるとか、デザイナーとのコラボも取り入れるとか、経営的な成功ポイントは大きいのだろう。

5年先、10年先どうなってるんだろうねー。

2019.09.26 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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