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読書録:『逃げるな新人外科医』

 


以前読んだ『泣くな研修医』という小説(そのときの読書録はこちら)の続編。前作では研修医だった主人公は、今は新人外科医として相変わらず忙しい日々を送っている。前回出てきた先輩医師たちに加えて、今回は研修医である若い女の子も登場し、ちょっとだけ「先輩」の立場としての成長ぶりも見せている。彼女らしき人も出てきてちょっとロマンスも。

とはいえ、まだまだ初心者マークのとれない主人公は、失敗したり落ち込んだり、今回も泣いてばかりだ。主治医として背負う責任が増えた分だけ、またまた自分の未熟さを感じるばかり。

今回は、勤務する病院での出来事に加え、自分の父親ががんというシチュエーションも加わる。医者として日々生死と向き合う日々に慣れていくことで、普通の人の感覚とは違ってきてる自分も感じて葛藤する主人公。生きるか死ぬかという場面は、医者にとってはたくさん接する患者のひとりであっても、患者にとっては一生に一度のこと。という当たり前のことを思い知らされる。

現役医師の書いているものだけに、医学的なことや医師の日常は、実際のエピソードをベースにしてるんだろう。それでも難しい医学用語が出てくるわけではなく、平易な会話文が続くので、TVドラマを見ている感覚で気楽に読める。(映像化を意識して書いてる?)

たぶんシリーズとして書いていくつもりだと思われるので、自作が出たらまた読んでみたい。泣いてばかりいた主人公の成長ぶりをいっしょに追いかけたい読者はたくさんいるはず。



2020.08.12 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



読書録:『子育てとばして介護かよ』


別居している夫の両親二人共が認知症になってしまった!という状況からの顛末をまとめたエッセイ。(元ネタはこちらのブログ→別居嫁介護日誌

義両親の言っていることが何かおかしい、これはもしかして?と思った段階から、一体何をすればいいのか。地域包括センターに相談に行ったり、介護申請をするための認知症の検査を受けに医者に行ったりという、「みんなが通る道」の経験談をリアルに振り返る。

母を看取り、父も施設に無事預かってもらえた私としては、ああ、そんなこともあったよねぇと遠い目で思い出すようなシーンがいっぱい出てきた。

思えば私も、明らかにおかしいと思われる父を病院に連れて行ったり、介護サービスはまだ必要ないと強がる両親を説得したり。結果的には、母の死後父の症状がみるみる進んでしまったおかげ?で、どさくさに紛れて一挙解決のようになってしまったけれど、そこに至る前、まだひとりである程度何でもできていた頃が一番大変だったっけ。

この本の中で、医者から「ケアマネさん選びはとても重要」と言われたのに、市役所に行くと「公正を期すためにおすすめの紹介はできない」と冷たく突き放されて泣きそうになるという下りがある。実際、私も介護認定とともに送られてきた介護事務所のリスト(ペラ一枚)を前に途方にくれたものだ。

実際には、この本でもそうであるように、包括センターの担当社が、うちの状況に合いそうな人を紹介してくれたのだった。なので、コマッタときは、とにかく包括に相談ですよ!(ということは、このブログの読者の人からもアドバイスされたのだった)

著者は、大学の「老年学研究科」に社会人入学しているという経歴から、そういうことに関心があったゆえか、嫁という立場でありながらキーバーソンを引き受けてしまう。(夫でもなく、義姉でもなく)

とはいえ、タイトルにあるように、「なんで私が?」という思いも当然ある。夫にいろいろ頼みたいと思いつつも、不機嫌になられるのが嫌で自分でなんでも抱え込んでしまうというのは、介護に限らず、みんな思い当たるフシがあるのでは。そんな日々に追い詰められていくなかで、「がんばりすぎない」と自分を戒めたり、「プロはさすが」と脱帽したりする描写が何度も出てくる。キーパーソンにならざるを得ない人にとっては、あるあるかも。

そんなふうに、個人的には役に立つというよりは、懐かしく?読んだけれど、来たるべき事態に戦々恐々としている人は、一読しておく価値はあると思うよ!

2020.08.11 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



読書録:『看取り犬 文福の奇跡』


読売新聞がやっているヨミドクターという医療情報サイトでのコラム「ペットと暮らせる特養から」を書籍化したもの。

著者は、横須賀市にある「さくらの里 山科」という特別養護老人ホーム(特養)の施設長。この特養では、長年共に暮らしてきたペットといっしょに入居できるのが特徴。今では保護犬なども受け入れて、複数のペットと入居者が共存する生活が営まれている。

タイトルにもなっている文福は、殺処分されそうなころを動物愛護団体に引き取られ、この施設にやってきた元保護犬。そんな文福は、なぜか入居している老人の死期が迫るとそれを察して、その老人に寄り添い、最後はベッドに入り込んで、「看取り」まで行うという。

この本では、実際に文福が行った看取りの実例だけでなく、他の入居者が連れてきたペットと飼い主との絆や、施設にいるペットたちとの入居者とのふれあいの様子が実在のエピソードとして描かれる。

長年二人暮らし?を続けてきた老人がペットと離れ離れになることの心身のダメージが大きいというのはよく分かる。だからこそペットと共に最期の時間を過ごせた老人が幸せに旅立って行く姿、そして、ペットもまた幸せに施設で死んでいく姿は、人も動物も、死はそれ自体が悲しいことではなくて、そこに至るまでの時間の過ごし方次第なんだなぁということを、改めて感じさせる。

ここには基本的に「いい話」しか出てこない。実際にはもちろん、さまざまなトラブルや書けないようなこともあったと思うけれど、基本的にはすべて実話ということだ。

ペットのいる人だけでなく、犬や猫の好きな人にとっては、まさに理想郷のような場所。特養だけに利用料金も高くはない。ただでさえ待機者が多くて入居は大変と言われてるのに、テレビにも何度か紹介されてるらしいから、実際にはきっとそうカンタンには入れないだろうね。

上にリンクを貼った私が読んだ本は去年出版されたものだけれど、なぜか最近違う出版社からリニューアルしたものが出たらしい。レビューによると、こちらには新しいエピソードがひとつ追加されているとのこと。


ヨミドクターのコラム自体は今も読める状態(現在も連載中)。ペット好きな人もそうでない人も、
何かとイライラしがちなこのご時世、ほっこり和んでみては。

2020.08.07 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



読書録:『一度読んだら絶対に忘れない 世界史の教科書』

 


現役の高校教諭による世界史の解説書。この先生はHistoria Mundiという名前で「世界史20話プロジェクトホームページ」というサイトを運営しており、各話30~40分ぐらいの講義動画と、まとめプリントのPDFを無料で公開している。そんな流れで生まれたらしいこの本には「公立高校教諭YouTuberが書いた」というのサブタイトルもついてる。(というのは、実は今気がついた)

昔学校で習ったはずだけど覚えてないことを、今更ながらおさらいしたい大人の間でベストセラーになっている、この手の歴史解説本は何冊か読んだけれど、うーん、正直「一度読んだら絶対忘れない」は、首をかしげたい。

とかくわかりにくいといわれる世界史をわかりやすくするために、この本では、「すべてを数珠つなぎにして<1つのストーリー>にしている」とか「年号を使わない」などの工夫がされている。人類の誕生、ヨーロッパ、中東、インド、中国と各エリアの歴史を個別に紹介したあと、大航海時代や各種革命、そして世界大戦への流れを追っていく。

うん、狙いは分かる。

ただねー。年号は出てこないけど、地名や人名、民族名、イベント名など固有名詞はてんこ盛り。どれも、あ~聞き覚えあるなぁと思うから重要な名前なんだろうけど、「ストーリーとして」にこだわるなら、あえて出さなくてもいいものもたくさんありそうだし、そうしてくれてれば、もっとすんなり頭に入ってくると思うんだけどな。

受験は世界史専攻で史学科卒の私でさえ、めんどくさくなってしまった。なので、授業は全然覚えてないけど、世界史勉強してみたい!っていう人にはお勧めできない。

むしろ、今世界史を勉強している学生さんが副教材として読むには、とてもお役立ちかもしれない。YouTubeの動画もちょっと見てみた感じわかりやすそうだったから(予備校の先生みたいな感じ)、コロナの騒ぎで授業が減っちゃって心配な人なんかにはぜひおすすめします。アマゾンの書評には、教え方に悩んでる世界史の先生の絶賛の声もあった(笑)。

まー、300ページちょっとの本で、膨大な世界史をかみくだいて説明するってのは、むずかしいと思う。歴史は暗記科目だと思うから嫌いになるのだとはよく言われるけど、ストーリーを理解するには、鍵となる数字や名前を覚えないとむしろ難しいっていう面もあるしね。

でも歴史を物語として理解すると面白みは倍増するし、東と西の地理的な要因をふまえた横の関係や、今につながる時代の流れを意識した縦の流れの両方がわかると、さらにさらに面白い。おとなになるとそういうことがわかるようになるから、今更歴史を勉強したくなる人がたくさんいるのかな。



2020.07.29 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



読書録:『ベルリンは晴れているか』


2019年本屋大賞の第3位、そして直木賞の候補にもなったという話題の本。

ヒトラーが自殺し、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連に分割統治されている、終戦直後のベルリンを舞台にした歴史ミステリー。主人公は17歳の少女アウグステ。米軍施設で働く彼女は、ある殺人事件の容疑をかけられソ連の警察に連行される。まもなく釈放されるも、その被害者の甥に彼の死を伝えに行くことを決意。混乱するベルリン市内をなんとかくぐりぬけ彼に会うまでの数日間の本編と、「幕間」として彼女の幼少期から今に至るまでの歴史が平行して描かれる。

500ページ近くある長編で、登場人物のインデックスや当時のベルリンの地図などが収録されているものの、名前が覚えずらかったり、地理感がまったくなかったり、出てくる用語がなじみなかったりして、さらっとは読めない。返却期限が迫っていることもあり(笑)、細かいところは気にせずさらっと読んだけど、それでも読み応えはあった。

ミステリー仕立てなので、殺人事件の犯人探しについても、ほーそう来たかという結末。個人的には筋書きそのものよりも、細かく描写される当時のベルリンの様子の方を興味深く読んだ。

当然ユダヤ人の悲惨な話もたくさん出てくるのだけれど、ナチに反発しながらも服従せざるを得ず、それでも終戦後はドイツ人としてひとくくりされる人々。戦争末期から終戦までの爆撃も相当のもので、他国からすれば加害者側でも、被害者となった一般市民もたくさんいるというのは、いずこも同じだ。人間は怖いし、弱いし、愚かだなとしみじみ。生きるって大変なことだ。なんてね。

個人的に、ベルリンは近いうちに行ってみたい街のひとつ。いつになったら行けるかな~。

2020.07.27 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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