読書録:『キャスターという仕事』


2016年3月まで23年間NHKの「クローズアップ現代」のキャスターを務めた国谷裕子さんの本。

新書なので実際には↑の画像にあるような本人の写真付きの帯などはないけれど、テレビで顔の売れた人の本、そしてこのタイトルから、よくあるテレビ裏話的な軽いノリを想像するとちょっと違う。

番組を引き受ける以前の経歴から、始まったときの頃の話、そして23年の歩みを振り返りながら、彼女が「キャスター」という仕事をどう捉え、どう取り組んできたかということに真正面から向き合った硬派な内容となっている。

この番組は、たぶん放送時間が7時半になった頃からずっと見ていたと思う。毎日見ると決めている7時のニュースの後番組だからという理由だけれど、実はつけてるだけであまり見てなかった7時のニュースよりも、こちらの番組の方が真剣に見ていた気がする(テーマによるけれど)。

海外の著名人にも通訳なしで直接インタビューできる語学力はもちろん、ありとあらゆる分野の専門家と対等に語り合える博識ぶりはすごいなぁと、いつも感心していた。同時に、そのためには裏でどれだけの勉強をしていたんだろうと。

そして残り時間数分なのにグイグイ斬り込んでいく攻めの姿勢。生放送だけに、見ている方がハラハラすることもたびたび。

そんな風に思いながら番組を観ていたので、本の中で触れられている過去のエピソードや、番組がどんな風に作られているかという話も興味深く読んだ。降板に至った経緯なども含めて。

熱があっても吐き気があっても決して休まず、足下にバケツ置いてやり通したという。とにかく、どれだけこの番組に、そしてキャスターという仕事に真摯に全力投球してきたということがよく分かる。

彼女自身の問題だけじゃなく、テレビというメディアの持つ力、陥りがちな危険、それにどう立ち向かうか、というメディア論みたいなものに触れられている部分も考えさせられた。まして、番組が始まった頃と、インターネットが普及した現在とでは、テレビの持つ役割、影響力なども大きく変わってきている。世界中の情報があっという間に拡散していく今、フェイクニュースなど問題視される中、「意図」を持って取材をして番組をつくり上げる意味、「公正さ」とは何なのか、などなど。報道に関わる人にはぜひ改めて考えてほしいと思う。




2017.06.11 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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