読書録:『弱いつながり』


弱いつながり 検索ワードを探す旅弱いつながり 検索ワードを探す旅
(2014/07/24)
東 浩紀

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メインのタイトルからはちょっと中身が想像しにくい本だけど、なかなかおもしろかった。

今やGoogleで検索すれば、ありとあらゆる情報を手に入れられるつもりになっているけれど、自分で探せる情報というのは、検索のときに自分で入れるワードによって決まってしまう。だから、リアルな旅に出て新たなものに出会ったり、発見したりすることによって、新しい検索ワードを手に入れ、それが自分の世界を広げてくれると。

と書くと、ネットと旅の話なんて、まさにびっけさんの好きそうな本ねと思われるだろうけど、まあ、それは間違ってないんだけど、この本のテーマ自体は、実はもうちょっと深い哲学的な話で、人は環境により規定される。人は環境を変えられない。だから、違う環境に身を置けばいい。それが旅であるというわけ。

本の中には、著者が手がけているというダークツーリズム(事故のあった場所を観光地化することで、風化させないようにする)とかの話も出てくる。(説明した記事があった→こちら

著者はフクシマを「観光地化」する運動をしていて、そのためにアウシュビッツやチェルノブイリに視察に行っている。そんな旅の話や、韓国で体験した「個人としてわかりあえること」と「国民としてわかりあえないこと」についての考察、インドや台湾など、現地に行ってみて初めてわかった事など、興味深い話がいろいろ。

印象的だったのは、「旅先で新しい情報に出会う必要はありません。出会うべきは新しい欲望なのです」という部分。

いろいろな国のいろいろな情報自体は後からいくらでも調べられる。大事なのはそれを調べよう、調べたいと思う心を見つけてくること。

たとえば著者は、チェルノブイリから帰国する遠路の間に、いろいろなことを考えるその時間が大事だという。これが瞬間移動でぴゅっと日常に戻ってしまったのでは得られない、見聞きしたことを熟成する時間(これは私の表現)、そこに意味があるということ。「情報はいくらでも複製できるけど、時間は複製できない」。

私もいろいろな国に行くけれど、そこはすごく共感できる気がする。

そこで見たステキなもの、食べたおいしいもの、それ自体よりも、そこへ行こうと思って初めて調べてみて何かを知ることとか、そこに行ってみて感じた空気感とか、その場に立ってみて、地理的歴史的な事情が納得できる瞬間とか。そして帰ってきてから、世界観が変わるとまではいかなくても、そこの国の人、ニュースとかの見方が変わってきたりとか。そんなことがすごく自分の心を豊かにしてくれる気がする。

そんな著者が末尾で書いてる旅に出るときの5つの心得の中で、「ネットには接続しておく」とある。いつでも、思い立ったときに、そのキーワードで検索できるように。だけど、メールやSNSにはつながない。そうじゃないと、「日常とは異なる環境に身を置き、ふだんの自分では想いもつかないことをやってしまうこと」ができないからだって。

あーうまく書けないけど、伝わるかな。 まあいいや、メモだから(笑)。

本自体は、文章もとても読みやすくて、さほどボリュームもなくてさらさら読めますよん。




2014.12.05 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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