読書録:『一度も植民地になったことがない日本』


一度も植民地になったことがない日本 (講談社+α新書)一度も植民地になったことがない日本 (講談社+α新書)
(2007/07/20)
デュラン れい子

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スウェーデン人の夫と結婚してヨーロッパに長く住む日本人女性の書いた本。

タイトルからすると、昨今人気の、「日本って実はこんなにすごい国」的な本かと思うけど、実際はよくある「日本の常識は世界の非常識」的なエピソードを集めた物で、むしろ日本人のこういうところは特殊、これは世界では通じない、みたいな話の方が多い。

一昔前の自虐ムードからの反動のような最近の「日本はすごい」系の話にはちょっと辟易してたので、安心しつつ読んだのだけれど、かといって、どれも目新しい内容ではなかった。

学者ではなく、あくまで普通の人が普通に生活して感じたことという前提で、かなりズバズバと小気味よく進むのだけれど、自分のまわりのことが当たり前のことのように論じている感じはちょっとどうかなという感じ。

そもそも、文中に良く出てくる「ヨーロッパでは」というくくり方もかなり乱暴。ヨーロッパだって国や地方によってずいぶん違うところもあるだろうに、自分の知ってる国のことをあたかも全ヨーロッパに通じる話のように断言してしまうのは、違和感を感じた。

この本自体は2007年の本だけど、著者が日本を離れたのは30年以上前の話のようなので、そもそも彼女の知っている日本の姿も、今とは大分違うというか、ズレが生じてきているようにも思った。

ちなみに、タイトルの「一度も植民地になったことがない」というのは、オランダ在住時に出会った南米スリナムの女性から、「日本のマザーカントリーはどこなの?」と聞かれたというエピソードからとったもの。その女性にとっては、同じ有色人種なのに、一度もどこの植民地にもなったことがない国が世の中に存在するなんて信じられないのだろうという話。

そう言われてみると歴史的に他国に支配されたことのない国っていうのは、本当に少数派なわけで。一般的には、日本、タイ、エチオピアぐらいと言われてるらしい。

ちょっと調べてたらこんな風に色分けして表している地図もあった。

昔ローマ帝国の領土だったとか、世界大戦時に一時的に支配下に入ったとか、そんなのも含まれているのだけれど。

そういう日本だって、元寇とか、ポルトガルから宣教師が来た時代とか、幕末に黒船が来たときとか、第二次大戦に負けたときとか、他国に支配されそうな機会はあった。一番のピンチは幕末かなぁ。なんて考えてみると、今年の大河ドラマで描かれてる吉田松陰の時代の人たちは必死だったんだろうなぁとか、でもその時代の一般の人にとっては、外国に支配されるってこと自体がピンと来なかったんだろうなぁとか、改めてそんな風に感じた。

歴史に「たられば」はないけれど、ほんといろんなことの積み重ねで、今のこの日本があるのだろうな、なんてしみじみ考える機会になったのはよかったかな。

2015.04.22 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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