読書録:『長女たち』



昔、『女たちのジハード (集英社文庫)』という本で名を売った、篠田節子さんの小説。

※著者の名前からすぐに『女たちのジハード』の人だと思いだし、それを読んだ記憶は確実にあるのだけれど、巷のあらすじを読んでも、どうしてもどんな話だったのか思い出せない。記録によると『純愛小説』という本も読んでるはずなのだけれど、こちらも同様。どうも私の記憶からはあっけなく消去された模様。

で、この『長女たち』。

40代の女性を主人公にした3作品が収められている。
1つ目は、出戻ってふたり暮らししていた母が認知症になり、その介護に振り回される話。他家に嫁いだ妹は、心情的に母を「かわいそう」というばかりで、現実的にはまったく当てにならない。ついに彼女は仕事もやめ、ふたりきりの介護生活で追い詰められていく。

ストーリー展開はともかくとして、介護の日々の描写がなんともリアルで、老親(幸いみんな元気です)を抱える身には、なんとも身につまされる話。

2作目は、インドの奥地の地域医療に身を捧げようとした女性。そこで見た老人を、孤独死した自分の父親に重ねるシーンは出てくるものの、タイトルにある「長女」としてのポジションは、あまり関係ない話。現地に現代医療の常識を持ち込もうとしたが挫折する主人公。老いるとは、死んでいくとはどういうことかというのを、根本的に考えさせられる話だ。

3作目は、まったく自制心なく食事管理のできない糖尿病の母にイライラする娘。彼女は父も弟も健在なので、孤独な介護ではないのだけれど、わがままになっていく実母をもてます様子は、これまた身につまされる。

3作とも、感動するという話ではなく、主人公目線で、現実的に坦々と描かれていく。その分、いずれは自分も介護をするとか、自分自身も老いていくのだと思いながら読むと、ストーリー展開とは別の次元で目が離せずに一気読み。

巻末には、取材した医者の名前を挙げているので、そこで聞いた話を元にしているのだろうけれど、作者自身も介護の経験があるのだろうか。年代的には私よりちょっと上なぐらいなので、まさにそういうお年頃なのだけれど。

同年代の女性は、それなりに興味を持って読めるのでは。

2015.05.15 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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