読書録:『仕事に効く教養としての「世界史」』



ベストセラーとして書店に並んでいて、ずっと気になっていた本。やっと順番が回ってきて読めた。

とってもおもしろかった!

学校で習う歴史というのは、どうしてもある地域、ある時代をピンポイントに見ていくことになるので、年号とか固有名詞の羅列になってしまう。この本では、それを縦横の関係で見ていこうという視点で、解説してくれる。

そうはいっても、やはり人名や国名なもいっぱい出てくるので、まったく世界史を学んでいない人にとっては、ちんぷんかんぷんだと思う。そういう私も、聞いたことがないもの、遙か彼方におぼろげな記憶しかないものもいっぱいで、よくわからない部分もあったけど、ほー、それとそれがつながるのか、そうだったのか!と思わされることがいっぱいあった。

この手の「わかりやすい」本の常として、著者は専門家じゃない。まして、この本を書くに当たっては特別参考本などはなく(なので巻末の参考文献もない)、著者が今まで趣味で読んだ本で得た情報を自分なりに咀嚼して書いたものであり、間違いもあるかもしれない、ということが、冒頭で堂々と宣言されている。

なので、ここに書かれている、いろいろな因果関係や結びつきなどを証明する原典などは記されておらず、それが定説なのか、学者の間ではそういう説もあるという話なのか、あるいは著者の妄想に近いものなのかは分からない。

そういう点では批判も受けているようで、Amazonでの評価は見事にばらけてる。タイトルにひかれて読んでみたけど「仕事に効く」内容はない!と怒ってる人もいる。

ただ、私が思うに、ここで「仕事に効く」といっているのは、個々の情報や知識ではなくて、気候変動や地理的な要因、他国の情勢など、いろいろなものを俯瞰しながら、広い視点で捉えるというその見方そのものが、「仕事に効く」のだと、著者は言いたいのではないのかな。

そういう意味では、私にとってはかなり目から鱗的な刺激を与えてくれたと思う。

忘れないように、印象に残った話をまとめておくと。

ローマ帝国分裂後、どうもローマ教会側のことばかりを世界史では習うけれど、実は当時としては東ローマ側の方が主流であったこと。私たちが習ったのは「勝者の歴史」であって、西側世界が作り出した歴史を、さも世界のスタンダードのように錯覚しているというのは、頭では分かっていたけど、本当にそうだなと。(あと、文字として記録が残っているもの→研究が進むという事情もあるけれど、記録がないことはイコール歴史が存在しないことではない)

コロンブスの新大陸「発見」以後、旧大陸からさまざまな病原菌が持ち込まれて、免疫のない先住民族はそのせいもあって数が激減してしまった。働き手がいないので、しょうがなくアフリカから黒人奴隷を連れてきた(この辺のことは、もしかしたら学校でも習ったのかも?)

歴代中国の王朝で宦官が使われたのは、そもそも遊牧民族たちは牛や馬を去勢するという知恵を持っていたことに起因する。

大きな流れでは、気候変動が世界史のうねりに大きな影響を及ぼしていること。BC500頃に地球が温暖化して鉄器が生まれたとか、氷河期時代ヨーロッパは全部氷の下だけど、ユーラシアの南の方は凍らない部分もあったので、その影響で、昔は東方世界の方が豊かだった。

第二次大戦後、アメリカは蒋介石と手を結ぶつもりだったのに、彼が台湾に追われ、中国が共産化してしまったので、仕方なく日本をパートナーに選んだ。だから、戦後の日本の繁栄は毛沢東のおかげ。しかも、毛沢東が長生きした分、中国の近代化が遅れたから、日本がアジアの繁栄を独占できたと。

特に最後の毛沢東の話は、異論もあるだろうけど、一つの見方としては、すごくおもしろいなと思った。確かに中国が共産化しなければ、日米関係は今のようにはなってなかっただろうし。

返却期限が来てしまったので、最後の方は大急ぎで読み飛ばしちゃったけど、どうせならもっとじっくり読みたかったな。またいつか機会があったら。とういかパート2を出して欲しい。

2015.05.27 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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