読書録:『里山資本主義』




ひたすら経済的な拡大を目指す近現代の方向性を「マネー資本主義」と名付け、現在の諸問題の根源はそこにあるのだという思想のもと、それと対極するものとして「里山資本主義」を目指そう!という本。

著者は地域振興などのコンサルタントと、彼と思想を同じくするNHKのディレクターふたり。NHKで取材した実例を挙げながら、里山民主主義のもつ可能性が、これでもかと繰り広げられる。

里山民主主義とは、近くの畑でとれたものをお互いにやりくりし、里山の木材を活用して同時に余った木でペレットをつくり燃料にするなどして、外から何かを買ってお金を流出させることなく自分の村、街で循環させようというもの。震災などの非常時に、都市機能がストップしてしまうという例も出しながら、いろいろなものを遠くからお金を使って買うことで成り立っている現代の生活に疑問を投げかける。GNPなどの数値は減るかもしれないが、それでもそこには別の形の幸せがあるのではないかと。

経済規模の拡大、右肩上がりの成長を前提とした考え方の限界という話は、あちこちで聞く。石油革命以来淘汰され衰退してきてしまった産業を見直していこうという考え方そのものには可能性を感じるし、数々の成功例を見せられると希望の光も見えてくる気がする。

でも、やはり「そううまくはいかないよな」と思ってしまう部分もある。本書でも、いくつかの課題は指摘されているし、すべて里山資本主義=古きよき時代にすべて移行すればいいというわけでもないという話も出てくる。

でも、「現代の諸問題は、里山資本主義がすべて解決してくれるんです!」という巻末のまとめを読むと、逆にうさんくさく感じられてしまうのが残念。

おそらく、共著であるために、筆者によってその辺の温度差もあるのかもしれない。

と、若干モヤモヤも残るけれど、考え方そのものとしては面白いと思った。

2016.01.11 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 読書録



コメント

うちの娘の好きそうな内容です。自己満足的な感じもあるから、やはり「すべて解決」というのは違うかもね。

2016/01/12 (火) 09:23:59 | URL | おぐママ #- [ 編集 ]

おぐママさんへ

「すべて解決」するわけではないからダメ、というのも違うと思うの。それで解決される部分もあるなら、それはそれで意味があるだろうし。下を向いてないで何かをやってみるという姿勢が与えるものもあるだろうし。娘さんの感想をぜひ(^^)。

2016/01/12 (火) 18:31:14 | URL | びっけ #- [ 編集 ]

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