読書録:『無意識の整え方』


あ~ら、びっけさんたら、またこんな本読むほど悩んじゃってるの?と思われそうだけど、そうではなくて、お仕事で読んだ本デス。著者の前野さんが関わっている某セミナーのようなものの講義録を書くため。

この本は、その前野さんが、合気道、僧侶、株式会社「森へ」の社長(これについて後述)、そして医師という4人を相手に、それぞれ「無意識」をテーマに対談した内容をまとめたもの。先日、後者2人の方の講義を取材したので、その参考になればと。ちなみに、ここで登場している僧侶の方の講義録も、以前に書いている。(日本人の死生観とお寺の未来


著者の前野さんは、元々ロボット工学を専門にしていたエンジニアで、ロボットに心を持たせるには?などと考えるうちに、そもそも「人間の幸福とはなんぞや?」ということに関心を持ち、今では「幸福学」を専門にしているという変わり種。海外の研究者の実験結果をヒントに、<人間の行動は「意識」で支配しているように思っているけれど、実はそれは幻想で、自分が意識する以前に「無意識」が指令を出していて、「意識」はそれを後付けで認識しているにすぎない>という、「受動意識仮説」という理論を提唱している。

仕事で読んだ本ながら、なかなかに面白かった。「無意識」とは何か、なんていう哲学的なテーマなので一度読んですべてを理解するのはむずかしく(本の内容自体は読みやすいです)、本当は手元に置いておきたい本。

Amazonのレビューでも評判よかったし、図書館でも順番待ち(なので、すぐに返さなくてはならないのが残念)だったので、普通の人が普通に読んでも、それなりに示唆があるのではないだろうか。

以下、自分用のノートとして記録。

冒頭の合気道の専門家との対談では、「気」(本当は「メ」の代わりに「米」を書く「気」)について語られている。気の交流が活発な状態が「元気」で、滞ると「病気」というように、「気の交流」が生命の根源なのだという。その考えに基づき、いかに「気を通わせるか」を求めて「型」を学び、その状態が無意識に入るまで稽古を積むことで、日常生活でもそれを活かせるように身に着けるのだという。

2番目の僧侶との対談では、「わたし」というのは、あらゆるものとのつながり「ご縁」の中にあるものであると語られる。たとえば怒りの感情を我慢できないときにも、それは縁で起きているものだからと客観視すればいいなど、その他念仏を唱えたり、座禅を組んだり、瞑想したりということの意義について、ほ~、そうなのか、というような興味深い指摘もあった(文章でうまくまとめられないのだけれど)。

3番目の対談者は、コーチングなどを学び、自然の中で自分を見つめるワークショップなどを運営している「森へ」という会社の社長さん。このワークショップにはエグゼクティブなども参加しているという。なにがしか「そこはかとない不安」を感じていた人が、ワークショップに参加して森での時間を過ごすことで、「根拠のない大丈夫感」を感じるようになるという森の力について、実際に森の中で対談をしながら意見が交わされる。

4番目は東大病院で心臓カテーテル治療を行っている医師。西洋医学のど真ん中にいながら、だからこそ、それだけでは解決できないものがあると感じているというこの医師は、人間は心と体と頭とすべての調和が重要なのであり、それが崩れたときに病気になったりするのだと考えている。その視点で東洋医学や伝統医療、民俗学などさまざまな見識を広げるうちに、日本古来の芸術や道(茶道、武道、華道など)には、全体性と調和を重んじる特徴があり、それに触れることで人間の内なる調和も保たれる、つまり美は医療的な意味も持つのだという、なかなか斬新な説が繰り広げられる。

個人的には、合気道の先生のところで出てきた、「実はポジティブ思考の人ほどうつ病になりやすい」というような話が印象に残った。自分の「心の倉庫」がマイナスになっているのに、無理にポジティブになろうとすることで苦しくなるのだという。

ちょっと前の私の状態も、これに近いのかも。「大変だけど、プラス思考で乗り切ろう!」って頑張りすぎて、「心の倉庫」が空になっちゃったのかな。

などなど、なかなか感じることの多い本だった。





2016.07.22 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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