読書録:『平穏死を受け入れるレッスン』


無理な延命治療をやめて、自然に枯れるような「平穏死」を受け入れようという本。

著者は特別養護老人ホームに勤める医師。実際に遭遇した自然に穏やかに死んで行く事例を読んでいると、こういう死に方が理想的と思ってしまうけれど。

人間は誰しも、自分は延命治療をしてまで生き延びたいと思っていないのに、自分の家族となると……という現実がある。本人からも延命治療はしないでと言われていても、いざ、その場になると「できることはしてください」と言ってしまう。それは多分、後から後悔したくない、死へのあきらめを先延ばしにしたいという気持ちがあるんだと思う。家族間での温度差も。

うちの両親もアラ90。いずれそういう選択が迫られる日も近いかもしれないと覚悟してる。私はこの手の本をよく読んでいるので、できるだけ無駄な延命治療はしたくないと思っているけど、姉はどうなんだろう。こういう本とかテレビとか見るタイプじゃないし、情に流されるタイプだし、「そんなかわいそうなことできない!」とか言われたら……。

医者の説明の仕方によるところも多いんだろうなと思う。

著者も、今でこそこういう主張をしているけれど、ここに至るまでにはいろいろあったようで。若い頃は大きな病院で「血気盛んな医師」だったのが、ある病院内のもめ事に巻き込まれて裁判を起こすことになり、苦節10年の後敗訴して退職。その後、現職を選んだのだという。

「外科医療の最先端で、患者さんのピンチを救い、いのちの危機を救うことこそ医療だと思ってきた私が、10年の苦節を経て、老衰には、もうひとつ別の医師の役割が求められていると考えるようになったのです」

自称「座敷牢の日々」を経ていろいろ考えた転職。本人が年齢を重ねたこともあるのかもしれない。

何が名医なのか。手術が上手、知識が豊富、見立てが確か……いろいろあるけど、患者や家族の気持ちまで考えて、十分にコミュニケーションをとってくれる医者に当たるのは、なかなかむずかしいかもね。


2016.08.18 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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