読書録:『世界史の極意』


著者の佐藤優氏は、神学部出身の元日本の外交官(ロシアの専門家で、鈴木宗男氏の事件で失脚?したらしい)で、宗教や外交に関する著述などで知られるベストセラー。

ミーハーなので、人相が悪い人だなぁと思いながらも(大きなお世話)たぶん何冊か読んだ事があるんだけど、どの本も今ひとつ、分かるような分からないようなで終わってしまった印象。すごく論理的な文章のように見えるのに、途中でその展開に置いて行かれてしまうのは、私の知識不足なのかもしれないけれど。

で、この本は、現代の国際状況やそれにまつわる諸問題を考えるには、過去の歴史を学び、そのアナロジー(類推)で読み解く必要があるというコンセプトで書かれたもの。最近の流行の分野と言えるかな。

私もこのテーマには関心があるので、今までも池上さんの本とか何冊似たようなものを読んだと思う。さすがに池上さんのように分かりやすくとはいかないけれど、今まで読んだこの人の本の中では、「なるほど」と納得するところが多かったように思う。

特に興味深かったのは、資本主義と帝国主義の関係について。資本主義の発達が帝国主義を生み、二度の大戦と冷戦時代、その後のグローバル化の加速という変遷を経て、現代は、新・帝国主義の時代に突入していると。以前の帝国主義と違って、植民地や全面戦争を避けようとするものの、「国際協調から再び牙をむく方向へ路線を変更する危険性がつねにある」のであり、「自国の権益を拡張する機会をつねにうかがっている」のだと。グローバル経済が浸透すると格差が拡大し、社会不安が増大すると、国家機能の強化にもつながる。それが現代の状況。

戦争の時代に突入してしまった旧帝国主義の時代の悲劇を繰り返さないために、その時代の歴史を学び、現代との「アナロジー」で、解決策を見いだしていかなくてはというのが著者の主張だ。

それを考える上で、イギリスやロシアの教科書の記述を例に出して、歴史にはそれぞれの見方、解釈があるのであるのだということをまず理解することが重要とも述べている。特にイギリスの教科書では、ある問題に対し、二つの立場を併記し、「あなたならそれぞれの立場でどう主張するか」というようなことを考えさせるアプローチをしているのだという。歴史は、いわゆる「暗記科目」じゃないってところは、大いに見習うべきかも。

その他、この本では、民族問題や、著者お得意の宗教問題という観点からも解説が行われている。歴史を、そして現代の情勢を、いろいろな切り口で大局的に見るというのは、なかなか有意義なのではという感じがした。さらっと読んじゃったので、たぶん半分も理解してないけど、じっくり読めば、勉強になりそう。


2016.10.03 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 日々のできごと



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