読書録:『さよならインターネット』


この前の都知事選に出馬したことでも話題になった家入一真さんの本。

引きこもりや登校拒否という経験をインターネットによって乗り越え、ネット関連のさまざまなビジネスにも関わってきたという立場から、インターネットの過去、現在、未来を考える。

前半に書かれている、ネット黎明期から今日に至る歴史の振り返りは、同じ時代を過ごした人間としては、まあ懐かしい限り。「モデム」を使ってプロバイダの「アクセスポイント」に「電話をかけ」、ガーガーガー、ピーヒョロヒョロという音を聞きながら接続するのを待つとか、Yahooのカテゴリリンクをたどって「ホームページ」を探してたとか。

著者自身がそのときそのときネットとどんな風に関わってきたか、何をしてきたかということを交えながら、ネットの歴史を紐解いた後は、電気や水道のように当たり前となったネットが、今やかつての姿から形を変えてきたという話になる。

もはや引き返せないぐらい便利になって私たちの暮らしに深く根付いている半面、昔はなかった窮屈さや問題も引き起こしているというのは、よくいわれていることではある。けれど、実体験に基づいて話しているだけに説得力がある。

特に、最近はネットで目にする広告やニュースや検索結果がカスタマイズされ、自分が見たいもの、自分が興味のあるもの、自分と意見を同じくするものしか見えなくなるという現実。世の中がそうやって細分化されたレイヤー状態になっているという指摘は、まさにその通りだと思う。

レイヤー化すること自体は悪くないかもしれないけれど、世の中には自分と違うたくさんのレイヤーがあって、自分が見えているのはその一部にしかすぎないということが分からなくなるのがコワイと思う(自戒も込めて)。

イギリスやアメリカの選挙で、「知識人」が「まさかこんなことになるとは!」と慌てているのも、自分と違うレイヤーに住む人たちの姿が見えなくなっていたせいなのでは?(これは私の意見)

タイトルは「さよなら」となっているものの、著者はもうネットなんていらないとか、ネットなしの世界がいいとか言っているわけではなくて、今までのネットにさよならして、新しい形のネットとの付き合い方を模索していきましょうという提案をしている。

その部分については、あまりピンと来るものはなかったのだけれど。

先日のAIの話ともたぶん重なるけど、10年後20年後、私たちとネットの付き合い方はどんな風になっているんだろうね?





2016.11.15 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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