読書録:『旅するニホンゴ』


「旅する」と言っても、旅行の話ではまったく関係なくて、ニホンゴ自体が旅した、つまり海外に出て行ったニホンゴの話。

明治以後、日本の移民政策でハワイやカナダやブラジルに移住した人たちが「持って行った」日本語や、第二次世界大戦のときの日本統治で「持って行った」日本語が、その状況や現地の言葉の影響でどんな風に変化していったかということを調査した本。

お気楽風な想定やタイトルの割には、読んでみると、中身は学術論文をちょっと柔らかくしたような本。言語論的な分析や調査結果の詳細な報告などの部分はさらっと読み飛ばしちゃったけど、なかなか面白い視点だとは思った。

興味を持ったのは、言語の変化そのものの話よりも、当時の移民の人たちや日本統治時代の話。特に、台湾には数多くの民族の言葉が存在していて、そういう人たちの間で、日本語が「共通言語」として使われていたというのは初耳。

ちょうど、戦後のインドやフィリピンで、他民族が意思疎通をするために、公用語である英語を使っているのと同じような感じだったのかな。

もちろん、ここに出てくる土地の日本語は、現在は当時を知っている高齢者が話すだけで、2世3世の人はどんどん使わなくなっているので、いずれは消えていく運命だとは書かれているけれど。

あと、この本では海外で使われて独特の変化を遂げた日本語を、「間違った日本語」として非難するのではなく、日本語の変化した形として取り扱っている点が印象的。今、世界中で使われるようになった英語が「世界の英語たち」と複数形で呼ばれ、どの英語も英語の一形態として語られるのと通じる部分があるのかな。

改めて、言葉っていうのは、生き物なのだってことね。

2016.11.26 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 読書録



コメント

あら、こんなタイトルの本があったなんて。旅した日本語の方が、意外と昔のまま正しく使われているかもね。「ら」は抜かないとか。敬語とか。諺の意味とか。

2016/11/27 (日) 04:38:28 | URL | おぐママ #- [ 編集 ]

おぐママさんへ

事例のところはあまりちゃんと読んでないんだけど(^^;)、さらっと見た感じでは、むしろ簡略化してるみたいですね。

2016/11/27 (日) 16:57:14 | URL | びっけ #- [ 編集 ]

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