読書録:『長いお別れ』


アルツハイマーになった父を抱えて、母と3人の娘の家族にふりかかるさまざまな出来事を、日常生活の描写という形にした小説。

長女は夫の転勤でアメリカ暮らし、次女は実家の近所に住み、三女は独身だが別居、仕事が忙しいといってあまり実家によりつかない。必然的に父の世話は母ひとりで背負う老老介護。症状の悪化に伴い、さまざまなアクシデントが起きる度に、娘たちも否応なく巻き込まれていく。終盤には、ついに母が入院。重症化している父の受け入れ先をバタバタと探したり、そこに入れるまでの間の在宅介護で消耗してしまったり。

いやー、今の私にはリアル過ぎる話。特に物語の序盤で描かれる、ちょっとだけボケ始めた姿が、まさに今の私の父の姿にそっくりで。

なので、物語の進行と共に父がどんどんいろいろなことができなくなる様子を見ていると、もう恐怖しかない。排泄物を手であちこちこすりつけるとか、話ではよく聞くけれど、父に重ね合わせて読んでいる主人公がそういう行為をする様子を見せつけられると、とても他人事とは思えない。

この物語では、母親がまだしっかりしているのと、夫を愛しているので、娘たちにさんざん文句を言いながらも「私ががんばる」と言い、献身的に世話をするけれど、うちの母は父に対して憎しみしかないし、そもそも体力もないし、とてもじゃないけど重症化した父の面倒は見られないだろう。

となると???

いざとなれば、施設に入れてしまえば……なんて思っても、それもそう簡単じゃないし、入れてしまえばすべてから解放されるというわけでもないし。ということも、「物語」で読むと本当に切実。

と焦った私は、さっそく父のかかりつけ医に電話をしてアポをとった。そして先日の相談センターの担当者とも電話で相談して、介護保険の申請書をなるべく早く出すことにした。もう、こうなったら、先手先手で乗り切るわよっ!って感じですかね。

小説の方は、施設入居を目前に自宅で介護していた父の容態が急変し、救急車で入院、息を引き取るところで終わる。

結局、認知症を発症してから10年。その期間をかけて、だんだんと記憶を失ってゆっくりと遠ざかっていくという意味で、認知症という病気は「長いお別れ」と言われるというのが、このタイトルの意味らしい。人生のフェードアウトってことなのかな。





2017.01.16 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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