読書録:『暗幕のゲルニカ』


2016年直木賞候補にもなった原田マハのアートサスペンス。実話をベースにしている点は『ジヴェルニーの食卓』と同じだけれど、現代に生きる架空の人物を主人公に展開している点で、よりフィクションの部分が大きい感じ。

ゲルニカといえば、スペイン内戦時の無差別爆撃に対してピカソが反戦のメッセージを込めた大作。この作品では、作品が描かれた時代と現代とが1章ずつ交互に現れて、2つの物語が並行して進んでいくというスタイルになっている。

ひとつは、ピカソがこの作品を生み出し、そしてこの絵がその後たどった運命を描く物語。そしてもうひとつは、911のテロで最愛の夫を亡くしたMoMA(ニューヨーク近代美術館)のキュレーター女性が、テロに屈しないというメッセージとして企画した展覧会に、ゲルニカを展示しようと奔走する物語。

ゲルニカは、新婚旅行のときにスペインで実物も見ているけれど、1981年までニューヨークに保管されていたとは知らなかった。1937年にパリ万博に展示するために描かれた後、フランコやナチスの弾圧を逃れて疎開していたらしい。私が見たのは1987年だから、まだスペインに戻ってきて間もない頃だったことになる。

しかも、私はマドリードのプラド美術館で見たんだけど、現在はその隣にあるソフィア王妃芸術センターというところにある。その所蔵を巡っては、スペイン帰還当時から、絵の舞台ゲルニカの地元であるバスク地方やスペイン各地のピカソ美術館など、かなりの論議を呼んだらしい。

この物語では、バスク独立運動なども巻き込んでスリリングな展開となる。絶対に門外不出とされたゲルニカが、ニューヨークにやってくるのか否か? 気になる結論は最後の数行まで引っ張られるのだけれど、あっさり一行でおしまいで、ページをめくって、え、これで終わりなの???とちょっと拍子抜け。

とはいえ、355ページもあるなかなかな長編ながら、途中でダレることもなく読めてとてもおもしろかった。途中ウィキペディアなどに寄り道しながら、事実の部分を確認したりして、勉強にもなったし。1937年当時のパリの様子や戦況なども、西洋史好きな私には興味深かった。

でも、読んじゃうと、やっぱり見たくなるのが、困りもの(笑)。

30年前にみたときは、「あーこれが有名なゲルニカね」、一応見ておこうぐらいのものだし、「大きいな」と思ったぐらいしか覚えてない。今もシュールレアリスムにはあまり興味がないので、スペイン旅行のときにはマラガやバルセロナ、去年の南仏旅行ではアンティープと、ピカソ美術館のある街を訪れているのにいつもパスしてた。唯一パリのだけは、ミュージアムパスで無料で入れるからという理由でちょっと寄ったけど。(でも、正直、うーむという感じ)

でも、ゲルニカに関しては、今もう一度見たら、もっと違う風に感じるかもしれない。見に行く予定のある人は、ぜひこの本を読んでからいくことをお薦め!

私も、いつかまた行けるといいなー!

2017.02.20 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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