母の入院11日目

今日も父を連れて病院へ。病室に入る前に看護師さんに会ったので「今日はどんな様子ですか?」と聞くと、「安定はしていますが、依然せん妄状態は続いています」とのこと。


部屋をのぞくと、母はベッドに座っている。こちらを見てとりあえず認識した模様。苦しかったり痛かったりはしないようで、ベラベラと良くしゃべる。でも口がもうあまり開かないので何を言ってるのか聞き取りにくい上に、話す内容がめちゃくちゃでよく分からない。ただ、機嫌は悪くないようで、冗談めいたことも言う。

どうやら幻覚でいろいろなものが見えたり、幻聴でいろいろな声が聞こえたりするらしい。「あそこにある飾り、お父さんが作ったの?」とか、「あんたのその白い刺繍のはどこで買ったの?」とか言うのだけれど、母の指さす先には何もないし、私は白い刺繍の洋服なんて着てない。

かと思えば、「●●ちゃん、●●ちゃん」と姉の名を呼ぶ。どうしたの?と聞くと、「だって今呼んだじゃない」とか。そのうち、「私が誰だか分かる?」と聞くと、うちの長女の名前を言ってみたり。どこまで分かってるのか、行ったり来たりな感じ。

私や父が何か尋ねても、関係ないことをベラベラとしゃべるばかり。意味が分かるのは全体の3割ぐらいかな。それでも「あんた、あれ数えてくれた?」とへそくりのことを覚えてるところは恐るべし。でも、もはやそれを誰にいくら分けるかなんて考えたり書き残したりするのは無理。頼まれて持参したノートは見せずに帰ってきた。

体の向きを変えるのさえ一苦労で、自力では無理な感じ。手助けをしてあげようとするけれど、びくともしない。まったく力を入れられない人の体がこれほどに重いとは! プロと違って力のいれ具合も分からないし、下手をすると骨が簡単に折れちゃいそうで怖い。「ひゃ重たい」というと、「看護師さんは、力持ちなのよ~」と笑っている。

ただし、看護師さんの話だと、寝返りもできるし、ひとりでベッドから降りて歩きまわったりもするのだという。目の前の母を見ていると信じられないのだけれど、「意識のないときはできちゃうんです」って、不思議ね~。

盛んに「痛いところはないか」「辛いことはないか」「退屈じゃないか」と聞いていた父。「何か食べたいものはないか」と何度も聞いては「食べられないんだから酷なこと聞かないでよ!」と怒られて、(意味を私に説明されて)「そりゃ悪いことを聞いたな」とシュンとしてる。「焦っちゃいかんよ」「いらいらしないようにな」「人のことを恨むんじゃないよ」と何度も何度も繰り返しては、「もう50回聞いた」と言われてたり(笑)。そんなやりとりをみていると、普段の両親を思い出して、ちょっとほっこりする。

そうやって、いつものように父を憎まれグチを聞きながらも、自分から手を出して父の手を握る母。まさかそんな姿を見ることになるとは、夢にも思わなかったよ。やはり夫婦なのねということなのか、もはや誰でもいいからすがりたいだけなのか。

昨日は「退院させたい」と言ってきて困らせた父だったけれど、さすがにこの状態では家には帰れないのは悟ったようだ。帰り際、「お父さんにはどう見えた?」と聞くと、「まあ、年を取るとこういうこともあるな」と何度も聞いたセリフ。自分に言い聞かせてるのかな。家に帰ってすぐ、リビングに飾ってあった写真(昨年暮れに米寿のお祝いをみんなでしたときのもの)を手にとってしんみりしている姿は、痛々しかった。「俺もいくつになるんだ?」「誕生日が来たら89だよ」「そうか。もういいな。年は取らなくても」とポツリ。

実家に連れ帰った後、改めて、突然出血して逝ってしまうかもしれないと連絡を受けたこと、そうじゃなくてももう長くはないことを父に説明した。その場では納得したような顔でうなづいていた。

「お父さんは辛いと思うけど、お母さん自身はもう痛みも苦しみもないみたいだし、意識もはっきりしないから、怖いとか不安とかそういう気持ちもないと思うよ。だから、心配しないでね。それよりも、ひとりになってしまうお父さんのことが心配。気を落とさないでね」というと、「まあ仕方無いことだから、慣れるしかないな」と言っていたけれど。

母とはほとんどまともに話が通じない状態になってしまったので、相対的にそう見えるのか、父がまともに見えてくる。いっしょに付き合ってくれた夫も、「今日の姿を見ていると、普通にみえるね」と言っていたから、かなりしっかりしていたのかな。

この先の状況を、父はどういう風に受け止めるのかなぁ。。。。


2017.08.03 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 介護



コメント

このところのビッケさんのご両親への対応ぶり読んで、私だったら自分の両親にこんな風にはできないな…と、ただただ感心しております。

2017/08/04 (金) 07:40:29 | URL | おぐママ #- [ 編集 ]

びっけさんは優しいね

とてもひと事とは思えず読んでいます。お母さんに対しても、お父さんに対しても、びっけさんは優しいね。どうぞ心も体も、がんばりすぎずに過ごしてください。

2017/08/04 (金) 18:05:25 | URL | hobara #- [ 編集 ]

おぐママさんへ

私もいろいろ介護体験記を読んで同じ要に思っていたけれど、きっとみんなその場になったら同じだと思いますよ。文章にすると偉そうに見えるだけなのかも。

2017/08/04 (金) 20:59:31 | URL | びっけ #- [ 編集 ]

Hobaraさんへ

かなりドライな人間だと思っていたけれど、実際に弱っている親を見るとねぇ。ある程度ゴールの時期が見えてるからできることかもしれません。単なる認知症の場合は。。。私も父だけになったら、施設に入ってもらうつもりでいるし。

2017/08/04 (金) 21:02:08 | URL | びっけ #- [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

カレンダー(月別)

07 ≪│2017/08│≫ 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: