優等生の自己満足

実家修行を終えて帰宅。


昨夜の言い争いから一夜明けて、父は覚えているのかいないのか分からないけど、お互い何もなかったかのように過ごす。「今日私は帰るからね」と告げると、「どこへ?」「なんで?」と、昨日のやりとりアゲイン。「仕事があるし」「何の仕事だ?」、「ダンナさんも待ってるし」「そりゃそうだ(←分かってないのにごまかしてるときの相づち)」。「どうしても、そこへ行かなくちゃいけないのか?」「まあ、いいよ。ひとりでやれってことなんだな」と、またやけっぱちな言い方。これじゃ、まるで親を捨てて出ていくみたいじゃないの。なんで、こうなるのー。

どうやら、ふたりで5日間過ごしたことで、この生活が当たり前と思い込んでしまったようだ。今まではひとりでなんとかやってたのに、なまじ「いい思い」をさせてしまった分、急に不安になったようで、あれこれブツブツ言う。どうせまたひとりの生活に戻ることが分かってるなら、「甘やかして」しまったのは、父にとってはかえって酷だったようだ。6日間もストレスフルな生活を我慢した時間が逆効果になってしまうとは(涙)。

父のためを思って……と言いつつ、父の生活の様子を把握したいとか、自分が往復するのがシンドイからとか、結局は自分の都合だっただけなのかもね。

昨夜の父を施設へという話も、遠距離介護から解放されたいという私自身の都合だ。ヘルパーさんが来てくれると言ってもマメに通わないと家の中があちこち汚れるし、というのも、行った私が気持ち悪いだけで、父にとってはどうでもいいことだ。ずっと同じ下着を着ていようが、シーツが不潔でも、タオルが汚くても、夏に冬物の靴下をはいてても、本人は困ってない。それは自覚してたけど、娘に大変な思いをさせないためにと思えば少しは折れてくれるかも……と期待したのが甘かった。伊父にとっては、「通うのが大変」と恩着せがましく言われても理解不能ってことだろう。

ひとりでは寂しいし、無理があると自覚はしている父にとって、自分の家に娘がいっしょに住んでくれるのが理想だけど、それが無理なら、不自由でも寂しくてもあそこで死にたいというのなら、もう好きにさせるしかないのかも。私が「大きなお世話」をやめて目をつぶればいいだけのこと?

そんなことを考えつつ、実家を出て家に帰る途中病院に寄った。父がいないので、母とふたりでゆっくり話す。母は一日ひとりで「いつ死ぬのかな」と考えてるという。「こんな風に話ができるんだから大丈夫だよ」と励ましてみたけれど、本人はもう地獄だから早く死にたいのだという。「誰かが背中をポンって押してくれないかしら」としみじみ言わると、その気持ちは痛いほど分かる。「そうだよね、辛いよね。じゃあ、あっちにいった友だちかきょうだいか、誰かに呼びに来て、ってお願いしてみたら」なんて冗談めかして言ってみる。

ここ数日口が痛くて話ができないと言う母は、頭はハッキリしてるけど、口数が少ない。その分、私がひとりでアレコレおしゃべりして、母が相づちを打つ。もう毒舌を聞くこともないので安心して(笑)、今までの子育てで大変だったことなどをひとり語りする私。この春通ったリンパ教室で習ったハンドマッサージをしてあげながら。「そう、そんなことがあったの」と静かに聞いてもらえる日がくるとは。こんな平和な母子の会話、大人になってからしたことがなかったと思えば、最後にこういう時間を持てたのは良かったのかななんて、思ってたんだけど。

途中で母が、先日珍しくひとりで来た姉に、「お金を残してくれてありがとう」とお礼を言われたという話を始めた。「私は口ではうまく言えないけど、お母さんには感謝してる」と言って泣いていたと。「そう、お母さんの気持ちが通じてよかったね」と言うと、「あの子はね、本当は優しい子なのよ。うまく立ち回れないだけで。でもああやって泣けるっていうのは大事なことよ」と言いながら、自分も涙を流す。

それを聞いて、正直私は複雑な心境だ。母は入院前姉にキツイ事を言われて傷ついていたから、わだかまりが溶けてうれしかったんだろう。私が姉に対して批判的なのを知っているから、かばいたい気持ちもあったのかもしれない。「泣けるのは大事なこと」ってわざわざ言うのは、死ぬときの話を笑い話にしちゃう私を非難してるの? そこまでの気持ちはないと思うけど、帰り道もずっと頭の中をその言葉がグルグルしてた。

これまで、母のためにいろいろがんばってきたつもりだった。でも、涙も流せない非情な私よりも、いっしょに泣いてくれる姉の方が、母の心を動かしたのは確かなのだ。能弁な批評家よりも、無骨な人がポロっともらした一言の方が感動的だったりする、そんな感じ。

もちろん、私がいろいろしてきたことを父や母が感謝してくれているのは分かってる。でも、しょせん「あの子はそういうのが得意だから」って片付けられて、ある意味当然に受け止められている気がする。「なんでも要領よくやるけど、すごくドライな子」っていうのが、子供の頃からの両親の私への評価。そう言われるたびに、褒められてる気は全然しなくて不愉快だったけど、結局最後までそれは変わらなかったんだろうな。そう思われてるのが分かってるから、そういうキャラでふるまっちゃう気もするけれど。

父の件にしろ、母の件にしろ、結局は自分がやりやすいように突っ走ってただけなのかもと、ここにきて、ちょっと無力感。何やってんだろねー。

2017.08.19 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 介護



コメント

ああ~ものすごく共感しました。
デジャビュみたいな感じがした。
いや、実際同じような体験をしたわけじゃないんだけどね。

なんだか損な役回りだなあって思うことはしょっちゅうです。
私もいつも「Yucanaはしっかりしてるから」って言われる。
父が亡くなった時も遺体を引き取りに警察まで行ったのは私でそれは全然いいんだけど、
その間、遺体を安置できるように家を片づけておくはずの母が名古屋からかけつけてくれた義姉と抱き合って泣いてたのよー、なんて言われてちょっとカチンと来たよね。私、泣く暇もなかったわ、と思ったわ。
それを「しっかりしている」「あなたに任せておけば安心」とか言われるのって心外。でもそういう役回りを求めらているのはわかるからやるけど。
父の死後母が心配で1カ月実家に滞在した時、「あなたがこんなに優しいなんて知らなかったわ~」ってしみじみ言われて、誉められてるのになんか腑に落ちなかったしね。
まあ、そんな「損な」役周りの人が文句も言わずに頑張るからいろいろ回っているってことを、少なくとも私はわかってる!そしてこのブログ読んでる人もわかってくれてる。
わかるやつだけわかればいい。淡々といきましょう。

2017/08/19 (土) 22:42:56 | URL | Yucana #jcOaHd1Q [ 編集 ]

老親との関係、これからどういう風になるのかな~と、私も思っています。そして、もう少し先、自分はどうやって一生を終えるのかな~とも思っています。

自分に与えられたもの(能力も)は、全てお返しするように…とはよく聞きます。
ビッケさんは自分にできることを充分やっているのでは。

2017/08/20 (日) 10:57:00 | URL | おぐママ #- [ 編集 ]

YUcana さんへ

いつもいろいろ共感してくれて、ありがとね。「しっかりしなきゃ」って思うと泣いてもいられないって、あるよね。YUcanaちゃんも、辛かったね。。。

2017/08/20 (日) 15:46:21 | URL | びっけ #- [ 編集 ]

おぐママさんへ

ありがとう。そうだよね。人それぞれ違うんだから、役回りも違うのよね。

2017/08/20 (日) 15:47:24 | URL | びっけ #- [ 編集 ]

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