読書録:『なんとめでたいご臨終』


著者は「日本在宅ホスピス協会」の会長を務める医師。1989年に岐阜市内で「小笠原内科」を開院して以来、多数の在宅看取りを行っている。この本では、自分自身が携わった「めでたいご臨終」のケースを実名、家族や患者の写真入りで紹介している。

一言で言っちゃえば、在宅で的確なケアを受けることで、こんなにも幸せな死に方ができるんですよ、という話だ。

この前、NHKの番組で在宅看取りすすめみたいな話をやっていたのを否定的に書いたばかりなので(そのときの日記はこちら)、最初は「そんな成功事例ばかり並べて、非現実的な希望を持たせるのはどうなの?」と、かなり斜めな気分で読んでいた。

ここに出てくる事例を見ていると、今にも死にそうなケースでも、一人暮らしでも、生活保護を受けるような人でも、相談したらすぐに診に来てもらえて、医師や訪問看護師ほか大勢の人が親身になってケアしてくれている。

実際に身内を訪問医療で診てもらった身としては、全然違うじゃん!という感じ。

正直、母を担当してくれた医師は年齢も若く、経験も少なそうだった。経歴は京大医学部出身ということだったけど、いかにもエリートな感じ。お付き合いした期間が短かったこともあるけど、あまり親身になって診てもらったという感じは持てなかった。

そもそも在宅医を探していたとき、最初の医師に断られ、間に入ってくれた日大の看護師さんからも、母のケースでは難しいのでは……と言われていたところを引き受けてくれたのがこの医師。紹介してくれたのは現在父を担当してくれているケアマネさんで、「正直この先生がいいのかどうかは分からないのですが」ということだったけど、この際引き受けてくれるなら誰でも!という感じでお願いしてしまった。

この本の著者によれば、一人暮らしでも対応しているケースはたくさんあるのに、母の医師は「判断能力のある人間がいっしょに暮らしてなければ無理」と断言した。後から思えば、最期まで看取る気はなかったんだろうという感じ。それでも、板橋まで通院できなくなってから入院するまでの間つないでもらったのは感謝してるし、的確な時期に緩和病院探しを提言してくれたのも、結果的には良かったことになる。

というような自分の事情を合わせて考えてみると、この本の著者のような経験も情熱もハートもある医師に巡り会えれば「めでたいご臨終」が叶うケースはたくさんあるんだと思う。問題は、そういう医師はそんなやたらには巡り会えないということ。

協会会長という立場からすれば、それも承知の上で、同業医師への働きかけも含めての本なのかもしれない。メディアの取材なども積極的に受けてみるみたいだし。

だから、この本を読んで簡単に誰でもこういう死に方ができると期待すると大変だけど、がんばっていい先生を探せば、そういう道もあるんだよということは覚えておいてよいかも。



2017.10.01 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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