読書録:『通じない日本語』


日本語教育の専門家が、日本語の多様性について書いた本。

世代間ギャップや地方差によって、同じ日本語でも「通じない」例を列挙。音の変化の特徴や、アクセントの位置など、多国語と比較した解説も面白かった。

著者は私よりちょっと年上ぐらいなので、世代間の言葉の違いは感覚的によく分かるものが多かった。ああ、昔そういう言い方よく聞いたなぁとか。

一番おもしろかったのは、地方差のところ。標準語だと思いこんでいたけれど、実は東京弁?関東弁?というのもあるというところで、「しょっぱい」(塩辛い、醤油の味が濃くて辛い)「かたす」(片付ける)という言い方は、標準語じゃないというのはびっくり。

鹿児島出身の著者は上京したとき、その2つの言葉の意味がよく分らなかったそうだ。ちなみに、鹿児島では、スパイシーに辛いのもしょっぱいのも、両方とも「辛い」なんだとか。

群馬出身の夫に聞いたら、「しょっぱい」は言うけど、「かたす」というのは私はよく言うけど自分は言わないと。へー。

もうひとつ、鹿児島では「あげる」も「くれる」も両方とも「くれる」と言うという。「私があなたにくれる」って。

これ、ずっと前に韓国語がマイブームだった頃に書いたことがあるんだけど、韓国語でも同様に「あげる」も「くれる」も「ジュダ」という動詞を使う。「~してあげる」「~してくれる」のように助動詞的に使うときも同じ。

日本語を勉強している韓国人が、「あげる」と「くれる」の使い分けがむずかしいと嘆いているのを聞いて、「反対の意味なのになんで?」と不思議に思った。韓国人って、「私のものはあなたものも、あなたのものは私のもの」的な、身内はみな一緒的な文化があるという印象なので、その影響なのかなぁなんて勝手に推測してた。

それが、同じ日本でもあったとは! 改めて考えてみると、そういえば群馬の義父も同じように「くれる」を使うことがある。不思議だ~。

ちなみに、この著者の先生、つい先日、彼が受け持っている某大学の授業が表彰されて、そのインタビューをさせてもらった。そのとき、「正解がない、分からないところがおもしろいんですよ」と言ってたっけ。

そして、先生は元々英語の研究をしにイギリス留学したときに、「あなたの母語ではどうか?」のように度々言われて、日本語について改めて見つめ直す機会があり、それで日本語研究の方に転向したという経歴の持ち主だ。

この本は、専門家の本ながら普通の人でも読みやすいように書かれているので、こういう話に興味のある人ぜひ。

付け足し。
大阪では肉といったら牛肉だけ、鹿児島では豚と牛だけ、というのもびっくり。(関東では牛・豚・鶏全部)。だから「豚まん」であって「肉まん」じゃないのね!

2018.04.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 日々のできごと



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

カレンダー(月別)

05 ≪│2018/06│≫ 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: