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読書録:『日本人が知るべき東アジアの地政学』


駿台の世界史講師が、世界史をベースにして現代を読み解くシリーズ。前にも『ニュースの”なぜ?”は世界史に学べ』(読書録はこちら)、『経済は世界史から学べ!』(読書録はこちら)の2冊を読んだことがある。

前回読んだ2冊に比べると、一番中身がぎっしりな印象。一般向けに噛み砕いて書かれてはいるものの、興味をもって真剣に読まないと咀嚼できないというか。その分、読み応えたっぷりだ。2019年5月発売の本なので、ブレグジットや米朝会談など最新事情も織り込まれている(香港のデモ関連までは触れられていないのが残念)。

サブタイトルは「2025年に韓国はなくなっている」とあるように、メインは朝鮮半島情勢について。最近の韓国をめぐるいろいろで、「意味わかんない」「何考えてるの?」と思っている日本人が多いであろうというところから始まり、朝鮮半島の地理的条件そしてそれ故に歩んできた歴史、そしてそこで培われた国民性について、一番詳しくページが割かれている。その辺の事情は、以前韓国の時代劇を観た経験からも納得できるものが多かった。

いい、悪いとは関係なく、日本と韓国では置かれた立場がまったく違うのであって、そのために常識や価値観も違うのは、ごく当たり前のことなのだと。

その上で、遠からず朝鮮半島は統一するだろうと予想している。現実的には信じがたい気もするけれど、私も個人的には案外ありそうな話だと思っている。

その朝鮮の統一という前提のもと、中国、台湾、ロシア、アメリカそれぞれの事情に個別に触れながら、今後の展開を予想し、そこで日本がとるべき戦略について筆者の意見が述べられている。

そこでキーとなるのが、著者が他の本でも繰り返し述べている「地政学」だ。著者によると、中国、ロシアはランドパワーの国(大陸国家)であり、日本やイギリスはシーパワーの国(海洋国家)。ランドパワーの国が海洋進出したり、シーパワーの国が大陸に進出すると失敗すると。

だから、今盛んに海洋進出を図る中国はいずれ衰退して、解体してしまうというのが、著者の希望的観測のようだ。「おわりに」の部分には「この本を嫌韓本や反中本とはしたくなかった」と述べられており、努めて中立的に書こうとはしているようだけれど、特に中国に対してはかなり否定的な見方が強いようにも感じた。(「韓国と中国に厳しいかも」とは本人も書いているけれど。)

結論として、中国の進出をおさえるために、ロシアと2島返還で北方領土問題を解決して手を結び、日米露の包囲網をつくれとも述べている。そして、国連は日本を守ってはくれないのだから、憲法を改正して、さらに非核三原則も撤廃しろいうのは、さすがに、うーんと思ってしまうけれど。

歴史や国際情勢というのは、見る立場によって見え方がまったく違ってしまうもの。だから、この人の言うことが正しいとは限らないし、今後の展望も単なる予想にすぎない。仮に「多くのデータからありそうなこと」であったとしても、どこかで起きた突発的な事情で何がどう変わるもわからないし。

だから、「今後どうするべきか」の部分はさておき、各国の地政学的な事情という基本的な部分は知っておいて損はないと思う。いろいろなニュースをみるたびに、あ~なるほどと思うことがありそうだ。

2019.10.05 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 読書録



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